ふと目に留まった景色に癒やされたことはありませんか? 実は山の頂上や高台に建つお寺は隠れた絶景スポット。播磨平野が見渡せたり、瀬戸内海が一望できたり、眺めのいい場所があります。お寺を訪れ、自分だけのお気に入りの景色を探してみて。
1.見る場所によって違う絵画のような景色(朝日山 大日寺)
一つ目は朝日山の中腹にある仁王門からの眺め。門が額縁になり、1枚の絵画を見ているかのよう。眼下には田園地帯と住宅街が広がっています。
二つ目は仁王門から急な石段を上がり、屋根と木々の間から見える景色。
海岸沿いにある工場の煙突や球体のガスタンクなどが見えます。晴れた日より、空気が澄んだ雨上がりの方が遠くまでくっきり見えるそう。
三つ目は朝日聖天へと向かう石段の上にある五智(ごち)如来の背中越しの眺望。戦国時代からこの場所で瀬戸内海を眺め続ける五智如来と、時代と共に変遷する景色。変わらないものと変わるものが対比して、胸が熱くなります。
●朝日山 大日寺(あさひさん だいにちじ)
戦国時代末期に秀吉の中国攻めをはじめ、3度の朝日山合戦で山が炎上。炎の中、当時の住職が千手観音を救い出し、今も本尊として大切に祭られています。
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2.せり出した舞台から見える空と海を独り占め(宝珠山 妙見寺)
見渡す限りのオーシャンビュー。宝珠山の中腹に建つ妙見寺の観音堂からは、坂越(さこし)湾に浮かぶ生島(いきしま)を眼下に見ることができます。
斜面にせり出した舞台に腰を下ろし、真っ青な空と海を見ていると、心が洗われるよう。
慌ただしい日常を離れ、大自然を眺めながらゆるゆるとした時間を過ごしたい人におすすめです。
●宝珠山 妙見寺(ほうじゅさん みょうけんじ)
お寺の屋根は四つの正三角形を組み合わせたピラミッドと同じ形。かつて多くの僧坊が建ち並んでいた宝珠山、船祭りで有名な大避神社の聖域でもある生島などと共に知る人ぞ知るパワースポットです。
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3.遠くにかすむ瀬戸内の海が心のオアシス(御嶽山 清水寺)
多くの西国巡礼者が訪れる大講堂。
石段を上がった所で後ろを振り向くと、遠くに淡路島や瀬戸内海が見えます。参拝者にとって、海が見える雄大な景色は心のオアシス。
●御嶽山 清水寺(みたけさん きよみずでら)
西国25番、播磨西国21番の札所であり、一年を通して多くの参拝者が訪れます。春は桜、初夏はアジサイ、秋は紅葉など、四季折々の花を楽しむことができます。
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4.播磨平野を一望できる穴場の夜景スポット!(五峰山 光明寺)
山の中腹にある駐車場からは播磨平野を一望することができます。また地元では穴場の夜景スポットとしても有名。
「六甲の100万ドルの夜景」に対抗し、「播州の1万円の夜景」と言われています。
見晴らし台から見えるのは蛇行した加古川の流れ。運が良ければ明石海峡大橋が見えるかも?
●五峰山 光明寺(ごぶさん こうみょうじ)
足利尊氏と弟の直義が対立したことで知られる「光明寺合戦」は南北朝時代を舞台にした軍記物語「太平記」にも記され、本堂裏には本陣跡の石碑(せきひ)が残っています。
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5.山肌に張り付くようにして建つ護摩堂からの眺め(七種山 金剛城山)
本堂裏の石段を上ると見えてくるのは護摩(ごま)木を燃やしながら、祈祷(きとう)する護摩堂。少し高い場所に建つので境内を見渡すことができます。
護摩堂からの眺め。堂の縁に腰を下ろして、四季折々の景色を撮影するのもよし、ぼぉ~っと物思いにふけるのもよし。
●七種山 金剛城山(なぐささん こんごうじょうじ)
かつて七種山の山中にあった本堂は3度の兵火によって衰退。再建したものの、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の難を逃れるため、阿弥陀堂をこの地に移築し、後の住職が伽藍(がらん)を復興させました。
※廃仏毀釈…明治維新の神仏分離令によって、仏教を排除しようとした運動。
※伽藍…お寺のさまざまな建物の総称。
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6.山並みと木々、どっしりした三重塔(法華山 一乗寺)
本堂の回廊からは山並みと木々、三重塔が織りなす壮大な眺めが広がっています。景色を眺めていると、三重塔が建立された平安時代後期へとタイムスリップしそう。
●法華山 一乗寺(ほっけさん いちじょうじ)
西国26番、播磨西国33番の札所。境内にそびえる三重塔は、平安時代後期に建てられた国内屈指の古塔で、国宝に指定されています
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法華山 一乗寺(ほっけさん いちじょうじ)
- 所在地
- 兵庫県加西市坂本町821-17
- 電話番号
- 一乗寺:0790-48-2006
本堂:0790-48-4000 - 営業時間
- 拝観時間:8:00~17:00
<番外編>座卓に移り込む幻想的な景色
裏山の斜面を利用した名勝・應聖寺庭園には、実際の景色と合わせて、黒光りする座卓に映り込む景色を楽しむことができます。景色が反転して写るので、写真撮影すると池の水面に映った景色のよう。座卓越しに見る庭園の幻想的な絶景を心静かに眺めてみて。
●妙見山應聖寺( みょうけんさん おうしょうじ)
関西花の寺の第8番霊場。白雉年間(650年ごろ)にインドの僧・法道仙人によって開基。
南北朝時代には播磨国守護・赤松則祐の祈願所として繁栄しました。また江戸時代には姫路城主が訪れ、その遺品が残っています。
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本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2018年8月9日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。