武家屋敷や白壁の土蔵など、城下町の面影が今も色濃く残っている龍野城下町。「重要伝統的建造物群保存地区」エリアには、国の登録有形文化財に指定された建造物が多く立ち並びます。歴史的価値はもちろん、古さのなかにもモダンな魅力も満載。また、淡口醤油発祥の地として、醸造の文化に触れることもでき、醤油や糀を使ったランチやスイーツが食べられるカフェも充実しています。たつのの街を歩いて歴史と文化に触れてみては。
➡︎たつの市の他の観光スポットについては、たつの市観光協会HPをチェック♪
1.醤油の郷 大正ロマン館・クラテラスたつの
観光案内とランチ、カフェ、ショッピングが一度に叶う観光の拠点地
龍野城下町を散策するならスタート地点に選びたいのが、「醤油の郷 大正ロマン館・クラテラスたつの」。龍野地区のランドマーク的存在として、観光の拠点になっています。
1924年に建てられた旧龍野醬油同業組合事務所を、観光拠点として整備した「大正ロマン館」。大正ロマン溢れるレンガ調タイル張りのモダンな建物は、国の登録有形文化財にも指定されています。
館内には、たつのの名産である、醤油やそうめん、皮革についてのパネル展示があり、まち歩きに欠かせない観光案内パンフレットも入手できますよ。また絵画をはじめとしたさまざまな作品展が定期的に開催されています。作品展スケジュール は公式HPをチェックして。➡︎作品展スケジュール
まるで映画のワンシーンに出てきそうな、赤い絨毯が敷かれた廊下は必見。タイムスリップしたようなノスタルジックな世界観を楽しんで。
旧醤油醸造工場をリノベーションした「クラテラスたつの」は、地産地消カフェや、名産品を購入できるアンテナショップが併設されています。
アイコンとも言える赤いレンガの煙突にも注目を。城下町エリアを散策していると、同じような醸造工場の煙突を見つけることができます。八角形のものより、四角のものが、より古い年代のものだそう。散策しながら見つけてみては。
『おまかせ惣菜ランチ』1,100円
地産地消カフェでは、地元の食材をふんだんに使ったランチが楽しめます。ヘルシーなのに品数が豊富で満足感があるのが人気の秘密。卓上には数種類の地醤油が置いてあり、味比べができるのでチェックして。
『オリジナルジェラート(ラズベリー)』ダブル 570円
龍野地区内で製造された『オリジナルジェラート』もおすすめ。シングル400円、ダブル570円で、『みるく』『甘酒』『さくら』『醤油』『マンゴー』『ラズベリー』の6種類のフレーバーがあります。『ラズベリー』は、サッパリしていて食後のデザートにぴったり。煙突を模ったクッキーは写真に残せば思い出の一枚に。
併設のショップでは、バラエティ豊かな地醤油を取りそろえています。そうめんや牡蠣を使った商品は、お土産にぴったり!全国発送もしているので、遠方の家族にたつのの味を送ってみては。
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2.うすくち龍野醤油資料館
ルネサンス建築様式のモダンな外観が魅力
「うすくち龍野醤油資料館」は、1932年に建てられた元ヒガシマル醤油本社社屋を改装し、現在は淡口醤油に関する資料や道具を展示する施設として一般開放しています。
古きよき町屋の街並みに突然現れるレトロモダンな建物は「兵庫県景観形成重要建造物」にも指定されています。レンガで造られた外観はまるでヨーロッパの建造物のよう。玄関口の隣に佇む赤い引退ポストも懐かしさを演出しています。
曲線を描いた大きな窓や、直線を意識した建築は、当時としては珍しいルネサンス様式が採用されていています。何気ない瓦屋根の風景も半円の窓によって切り取られてドラマチックな一枚に。
外観が洋風なのに対して、屋内に一歩踏み入ると柱や梁(はり)がむき出しになった木造建築による和の空間に。
館内には江戸時代から醤油作りに使われていた道具や貴重な資料約2,400点が展示されています。製造工程に沿って展示されているので、一周すると、醤油が出来上がるまでの過程を学ぶことができますよ。
見所は、大人の背丈より遥かに高い巨大な木樽。見上げるような大きさは近くで見れば見るほど迫力があります。樽は、木目の詰まった秋田杉を丁寧に削って造ることによって醤油が染み出ることがなく、使い込むほど発酵に適した環境を作り出し、寿命は100年以上だとか。使い込まれた姿からは貫禄さえ感じます。
今では見る機会があまりない糀を作る「糀室(こうじむろ)」も中を見学することができます。発酵ブームの火付け役となった塩糀に使う糀も、人の手と感覚を駆使して作られていたことに驚くはず。
理科の実験室を思わせるような、貴重な道具がずらりと並んだ部屋も。撹拌機(かくはんき)や顕微鏡などのヨーロッパ製の道具は、どれも機能だけでなく洗練されたデザインで、見ているだけで楽しくなります。
事前に予約をすれば、知識豊富な元ヒガシマル社の職員が解説をしながら案内してもらえますよ。入館料は“ご縁が重なる”という意味から10円(重縁)なんだとか。たつの醤油の歴史を肌で感じてみては。
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3.よこた 本店
名物「穴子寿司」は20年変わらない秘伝のタレが味の秘訣
1940年代に創業以来、お祝いの席にいただく特別な御膳や寿司を中心とした和食を提供する「よこた」。地元の常連を中心に、観光客の舌をも唸らせてきた名店です。
『穴子寿司』840円
先代が考案したという『穴子寿司』が看板商品。現在は3代目がその味を受け継ぎ、たつのの名物ともいえるその味を守り続けています。
穴子は1年のなかで最も旬といわれる、3月~8月中旬に仕入れて、超低温で保管されているので、いつでも脂ののった獲れたての穴子を味わうことができるそう。
口に含むと飴色のタレが穴子を包み込み、鼻にぬける上品な甘さがクセになります。間に入った須磨の海苔(のり)が食感と香りのアクセント。付け合わせの細 切りショウガと合わせて食べると、より爽やかな味わいになります。
魅力は、先代から継ぎ足して作られている濃厚な焼きタレ。地元の醤油店がよこた専用に作る、特注の特濃醤油を使用しています。穴子のだしと合わせることで、味に深みとコクが出るのだとか。
また朝4時から2時間かけて作るかけダレは、分量や加熱時間を気温や季節にあわせて調整するこだわりよう。五感で作り上げる技はまさに職人技です。
揖保川沿いとあって、2階の座敷からの眺めは最高。ヒガシマル醤油の工場や、龍野城を望むことができ、春は桜、夏は花火大会など季節ごとに移り行く景色を楽しめます。
子どもの頃からこの味で育った常連は今もひいきにするほど。家族が集まる盆や正月には、多い年で800食注文が入ったことも。3代目の人柄と変わらない味わいに、懐かしさを感じる人が多いのにも納得です。
※2022年2月10日現在、仕出しのみの営業のため、店内での飲食はできません。再開時期は未定。同町内にある東店では店内飲食可。
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4.エデンの東
昭和にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな喫茶店
龍野城下町商店街に佇む「エデンの東」は、まるで昭和にタイムスリップしたかのようなレトロ感たっぷりな雰囲気が魅力の喫茶店です。店名が入った白と黒のシックな街灯を目印に訪れて。
注文が入ってから店主が一杯ずつサイフォンで淹(い)れてくれるコーヒーが自慢。手作りにこだわったランチやスイーツも人気です。
ジャズが流れる店内にはゆっくりとした時間が流れます。ヴィンテージ感漂うテーブルや椅子が並び、より落ち着いた雰囲気を演出しています。カウンター席もあり、気さくな店主との会話を楽しむ常連客の姿も。
『お醤油ロールケーキ』350円
全て店主の手作りというケーキは常時4~5種類スタンバイしています。
おすすめは、たつのの醤油を使った『お醤油ロールケーキ』。生地と生クリームに醤油を加えているので、優しい甘さの中にさりげなく香ばしい醤油が主張していて、まるでキャラメルのような味わいです。甘いものが苦手な人にもおすすめ。ここでしか味わえない「たつの」の味を楽しめるご当地スイーツです。
『赤とんぼピザ』850円
45年前にイタリア料理店でピザ作りを学んだという店主が、生地から作るピザメニューは全部で8種類。中でもたつの醤油ともろみ味噌をソースに使った『赤とんぼピザ』は、たつのの魅力を伝えたいと考案し今では店の名物に。たつのに来たら一度は食べておきたいご当地ピザです。
醤油の香りともろみ味噌の甘さがチーズにマッチ。サラミで描いたかわいらしい赤トンボは、写真映えも狙えますよ。レトロな空間でカフェタイムを楽しんで。
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5.吾妻堂(あづまどう)
100年続く老舗和菓子店で伝統の和菓子を味わって
1901年、明治の時代に創業した「吾妻堂(あづまどう)」。地元の常連に愛され、城下町とともに時を刻んできた老舗の和菓子店です。
純和風の佇まいに、硝子戸に描かれた絵画を模したような文字が目印。店内の硝子ケースには季節を彩る和の菓子と、創業当時から変わっていないという洋菓子を思わせるセルリアンブルーの贈答箱が並びます。和のなかに洋が見え隠れする、ハイカラな雰囲気が魅力です。
取材中、予約していたお菓子を買いに常連客が次々に来店。お得意さんとの会話が絶えないのもの好みを把握しているからこそ。
『煉り羊羹』1本1,101円
夕焼けの空のような色と凛とした姿が美しい『煉り羊羹』。班子ささげという希少な豆と白餡を使ったお店の看板商品です。100年前から、材料、製法が変わっていないというから驚きです。
滑らかな食感と、下に敷かれた砂糖のシャリシャリした食感のコントラストが楽しい一品。通ともなると、冷蔵庫で数日ねかせて砂糖が全体にまわってから食するそう。ぜひお試しあれ。冷蔵庫で1週間日持ちするので、お土産にもおすすめです。
『ひしほ』1個140円
たつの土産の代名詞とも言われる淡口醤油饅頭『ひしほ』。2代目がたつのを代表するお菓子を作りたいと考案したのが始まりだそう。しっとりとした上品な甘さのこし餡を、淡口醤油を練り込んだ薄皮で包み込んであります。てっぺんの黒ゴマと醤油の香ばしさがアクセントに、餡の甘さと塩味の絶妙なバランスがクセになるおいしさ。
本店以外に姫路山陽百貨店の地下1階フロアで購入することができますよ。『煉り羊羮』は毎日、『ひしほ』は、火、土曜日限定販売なのでご注意を。
他にも季節限定で登場する、フランス・ヴァローナ社のクーベルチョコレートを使ったチョコレート羊羮『ちよこ』(1,080円)など、伝統は守りながら常に新しさを取り入れています。
季節を感じる和菓子を買いに、一度「吾妻堂」を訪れてみては。
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6.発酵LabCoo(ラボクー)
子どもから大人まで発酵文化を楽しく体験できる発酵食教室
発酵インストラクターの資格を持ち栄養士でもある松下美幸氏が手掛ける発酵食教室「発酵LabCoo(ラボクー)」。松下氏は発酵関係の仕事に携わった後、「自分の言葉で、発酵食の魅力を伝えたい」と、5年前に自宅で教室をスタートさせました。
ここ数年の発酵ブームやおうち時間が増えたことも手伝って、その人気は姫路や加古川にとどまらず、岡山や京都からも足を運ぶ生徒がいるほど。
人気の秘密は多彩で豊富なプログラムにあります。子どもでも参加できる初心者コースから、味噌、醤油やみりん、甘酒、塩糀など、数回に渡って学ぶ本格的なプログラムまで、自分の興味やペースにあわせて参加できます。中にはちょっと珍しい「砂糖を使わない発酵あんこ」や「サラダのようなぬか漬け教室」など、気になるプログラムも見逃せません。
レッスンは基本自宅のキッチンで開催されます。玄関を入ると、薪ストーブの温かな火が部屋を包み込むセンス溢れるリビングがお出迎え。南向きのテラスから優しい光が差し込む明るいキッチンでレッスンが始まります。
取材日は、出身保育園が同じという仲良し3家族が集合し、4歳~9歳の子どもが「味噌玉作り」にチャレンジしました。プライベートレッスンなので、周りを気にせずリラックスして受けられるのもママにはうれしいポイント。
レッスンは味噌や発酵の話から入るのではなく、色彩や素材の話をしながら、にぎやかな雰囲気の中終始子どものペースで進行。子ども達はあれこれトッピングに悩みながらも1時間弱で、個性的な味噌玉を作り上げました。
仕上げにチョコレートと見間違いそうなかわいらしいギフトボックスに入れて完成!ママのSNS映えもバッチリです。ちょっとした贈り物に作っても喜ばれそうですね。
保護者が同伴であれば小さな子どもでも参加できるそう。人数や年齢によって柔軟に対応してもらえるので、気軽に相談を。レッスンの予約は料理教室検索サイトクスパまたはお店の公式LINEから予約が可能です。➡︎クスパ
教室ではオリジナルの味噌やおすすめの調味料、おしゃれで高機能な調理グッズも販売しています。オンラインショップでも購入できるので、気になる人はチェックして。➡︎ @camosinamarket
“何となく参加してみたら、発酵の魅力にハマってしまう人”が多いそう。自分のため、家族のため、食卓を見直すきっかけを見つけに気軽に参加してみてはいかが?
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本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2022年2月8日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。