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【西脇】「のじ」一日数組しか訪れることのできない“里山の隠れ家”で「土鍋地鶏めし」を堪能!

西脇市と丹波篠山市の市境、のどかな田園風景が広がる住吉町に佇む「のじ」。自然豊かな西脇市の中でもひときわ穏やかなこの場所で、大阪から移住してきた店主夫妻が営むお店です。ランチは『土鍋地鶏めしのお膳』のみ。目の前で土鍋がふつふつと湯気を立て、芳しい香りを漂わせながら仕上げられる土鍋地鶏めしは、一度食べると忘れられないおいしさ。わざわざでも訪れたい、価値ある一膳を求めて、西脇までドライブに出かけてみませんか?

・「のじ」

西脇市街地から車を走らせることおよそ10分。のどかな田園が続く住吉町の山あいに、静かに寄り添うように建つのが「のじ」です。

ここは金~月曜日のみ営業する里山の食事処。それも、一日に数組しか訪れることができない完全予約制です。特に週末は数週間前から埋まっているほどの人気ぶり。予約は公式Instagramか電話(※営業時間外のみ対応可)から受け付けています。➡︎公式Instagramはこちら

扉を開けると、高い勾配天井に立派な梁(はり)、漆喰の壁、そして土間床など、落ち着いた趣のある空間が迎えてくれます。50年前に建てられ、かつては農業倉庫として使われていたというこの建物。そんな面影はほとんど感じさせない温かな店内のしつらえは、職人の手を借りながら、店主夫妻自らも2年という長い年月をかけて仕上げたものだそうです。

特に店主のお気に入りはこのピクチャーウィンドウ。春夏秋冬、山の木々が織りなす色彩を、そのまま一枚のアートのように楽しませてくれます。特に11月から12月にかけては、木々が赤や黄に染まり、一年で最も華やかな景色が臨めます。窓枠が鮮やかな色を縁取り、その美しさに胸を打たれます。

店内中央に据えられた薪ストーブにも注目です。国内で受注生産のみを行うメーカーに特注したというこの大型ストーブは、風情あふれる空間にしっくりと溶け込み、店の雰囲気をより引き立てています。

寒さが厳しくなる11月末ごろから、遅くとも12月には火が入り始めるそうで、ゆらめく炎を眺めているだけで心まで温まるよう。普段めったに目にすることのない本物の薪ストーブを前にすれば、ついカメラを向けたくなるはずです。


・一度食べると忘れられなくなる「土鍋地鶏めし」

以前は大阪で、炭火焼鳥と土鍋地鶏めしを看板メニューとする飲食店を営んでいたという店主夫妻。もともと古民家や自然が好きで、田舎暮らしへの憧れもあったことから、この景観に魅せられ移住を決意したとか。

そして新たに「のじ」という名を掲げて店を開いた今も、前店で人気だった「土鍋地鶏めし」だけはレシピを変えずに継承。一組ずつ、一つの土鍋で丁寧に炊き上げるスタイルもそのままに、“変わらないおいしさ”を大切に提供しています。

ご飯の主役となるのは、宮崎県から仕入れる地鶏。同店があえて「宮崎地鶏」を選ぶ理由は、“うま味の強さ”にあります。地鶏と名乗るには、生後130日以上育てる必要があるとされ、その期間にしっかりとうま味が凝縮され、脂にも甘みが宿るのだとか。同店が採用する「宮崎地鶏」は、その中でも特に力強い風味を持ち、出汁にしたときにほかにはない深みが生まれます。

この地鶏のうま味と上質な脂を余すことなく使って炊き上げた地鶏めしは、醤油などの調味料が入っていながらも、それらに負けない豊かな風味が広がり、優しくも奥行きのある味わいに仕上がっています。

お客さんの到着に合わせて土鍋に火が入り、卓上でふつふつと湯気が立ちのぼるのを眺めながら待つ時間さえ、ちょっとしたごちそう。蒸らしを終えてふたを開けた瞬間、香ばしい香りがふわっとあふれ出します。

仕上げに三つ葉をそっと散らせば、土鍋地鶏めしの完成。つややかに粒が立ったご飯から、鶏と出汁の甘い香りが湯気にのって鼻に優しく届きます。

・完全予約制『土鍋地鶏めしのお膳』

『土鍋地鶏めしのお膳』2,800円/人 ※要予約。予約は2人~

ランチは、湯気立つ「土鍋地鶏めし」を中心に、天ぷらや小鉢、みそ汁が付いた『土鍋地鶏めしのお膳』のみ。店のすぐそばの畑で採れた野菜や地元産の食材、自家製の発酵調味料がふんだんに使われ、こだわりと手仕事が詰まったおかずが、お盆の上にずらりと並びます。

思わずうなるほどのおいしさを誇るのが、「宮崎地鶏」を昆布で締めた「宮崎地鶏のササミの昆布締め」。鶏を刺し身のようにいただくという意外性に驚きつつ、口に含んだ瞬間に広がる清らかな鶏のうま味と、ぷるんと弾む肉質に圧倒されます。

自家製の柚子胡椒をまとわせれば、その爽やかな香りとほどよい辛みがササミの甘みをさらに引き立て、思わず目を見張るおいしさに。

自家製の塩麹(こうじ)で仕込むことでやわらかく仕上げられた「播州赤どりの麹とり天とマイタケの天ぷら」は、麹のまろやかな塩味だけでいただくもよし、山わさびと酢醤油でいただくもよし。衣のほのかな香ばしさに山わさびの刺激が加わり、最後に酢醤油の清々しい酸味がふわりと広がる、食べ進めるほどに味の段階が楽しめるひと品です。

そのほかの小鉢は、ふっくらとした「出汁巻き玉子」や「干しシイタケと厚揚げのうま煮」、香の物として「白菜の甘酢漬け」がラインアップ。出汁巻き玉子は焼きたてをすぐ出さず、冷まして味を落ち着かせることで、出汁がじんわりと染み込んだ丸みのある味わいに。うま煮には干しシイタケの戻し汁のうま味を存分に生かすなど、一口ごとに小さな発見があるような工夫が散りばめられています。

みそ汁は季節野菜を使用しているため、毎日のように内容が変わります。この日は、自家菜園で採れたツルムラサキと地元産のカボチャ。カボチャの甘みを引き出すため、バターでじっくりグリルするひと手間も、お客さんへの小さなサプライズとおいしさのための工夫です。



・食後の余韻を深める、とっておきのドリンクも♪

『熊野園の煎茶(ホット)』660円

ドリンクメニューはノンアルコール、アルコール共に豊富にそろいます。特にアルコールメニューが充実していて、「土鍋地鶏めし」を引き立てる日本酒や焼酎、自家製梅酒など多彩。昼飲みも大歓迎です。

食後はゆっくりと日本茶で落ち着きたいというときは、お店から車を10分ほど走らせた場所にある丹波篠山市のお茶の専門店「熊野園」の煎茶を。香料などの添加物を一切使わず、自然のままの香りを大切にした一杯は、心を静かに整えてくれます。

『のじのクラフトジンジャーエール』700円

自家製のショウガから作る『のじのクラフトジンジャーエール』は、数種類のスパイスをブレンドしたキリリと辛口で大人なソフトドリンク。こっくりとしたきび糖の甘みに唐辛子の辛みが重なり、濃厚で奥行きのある味わいが楽しめます。

“のじ板”のようにシンプルで、ありのままに。そして“野路”のような景観にそっと寄り添う。「のじ」という一言から無数の言葉が派生するように、この店もまた、多様な魅力を秘めています。里山の隠れ家で、ひっそりと、今日も静かにおいしい時間が流れています。

■詳細情報

■DATA

のじ

所在地
兵庫県西脇市住吉町1254
電話番号
050-5896-8004
営業時間
11:30~14:30

本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2025年11月17日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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