播州秋祭りの中でも有名な祭りの一つ、「灘のけんか祭り」。今年の練番・松原地区の祭典委員の方に、初心者でも分かりやすいけんか祭りの“基本のキ”を教えてもらいました
Q1.灘のけんか祭りでは、本当に「けんか」をしているの?
A.神様がまつられている3基の神輿(みこし)を荒々しくぶつけ合う様子が、まるでけんかをしているように見えることから通称「灘のけんか祭り」と呼ばれるようになったと言われています。その由来は諸説ありますが、松原八幡神社が祀(まつ)る神功皇后が軍船を率いた際に、船底についた牡蠣殻を取るために船と船をこすり合わせた伝承を再現していると言われています。
Q2.練り番(年番)ってなに?
A.灘まつりは東山・木場・松原・八家・妻鹿・宇佐崎・中村の7つの地区で行われており、練り番(年番)とは神輿練りの当番を務める地区のことを指し、7年に1度回ってきます。練り番の地区は、本宮には屋台を出さずに、最後に宮入を行います。
3基の神輿は「一の丸」、「二の丸」、「三の丸」と呼ばれ、それぞれ応神天皇、神功皇后、比咩大神(ひめおおかみ)が祀られています。2024年は16年ぶりにこの神輿が新調されるところも見どころです。
Q3.屋台の周りにいる人が持っている長い棒の役割は?
A. 長い棒は一般的に「シデ」といい、漢字では「紙手」「神手」「四手」とも書きます。 和紙を竹の先につけ花のように折りこんだもので、屋台を取り囲い、祭りをより一層華やかに彩ります。 魔除けの力があるとされ、露払いとしてや、屋台が進む方向を指し示すために用いられます。
Q4.「ヨーイヤサー」って掛け声は何?
A.弥栄(いやさか)という言葉が由来とされています。意味は家が栄える、代々栄える、などで、昔は祭りを通して家や町の繁栄を願っていたのかもしれません。
掛け声にはほかにも「エーンヤー ヨッソイ!」というのもありますが、「エーンヤー」は「いつまでも」「ヨッソイ」には「栄える」という意味があると言われています。
Q5.誰でも観に行けるの?
A.基本的に誰でも観に行くことは可能ですが、練り合わせなど激しい演出が行われる場合は近づくと危険です。安全に観ることができる場所を選んで楽しんでください。当日は交通規制がありますので、来場には山陽電車「白浜の宮」駅の利用が便利です。
Q6.誰でも屋台を担ぐことはできるの?
A.基本的に地元の氏子(うじこ)が担ぎます。ただし、村によっては「他所練り子」といわれる、その村にゆかりがある人や祭りに興味のある他町の人が参加できる場合もあるようです。保険の関係や村ごとのルールに従う必要があるので、当日の参加は難しく、参加したい人は事前に各村に問い合わせしてみては。
Q7.どのような服装で出掛けるのがベスト?
A.とにかく動きやすい服装にスニーカーがベスト。屋台は本宮以外ではあまりとどまることはなく、各町内を巡回することが多いです。さまざまな見どころを押さえたいなら、祭りの流れに合わせて移動するのがおすすめです。
Q8.知っておくと地元っ子になりきれるような祭り用語って?
A.
●棒端(ぼうばな)
屋台をかつぐ部分の本棒の先端に取り付けられている綱を引き、屋台をコントロールし舵取りをする役割の人を棒端と呼びます。村内でも特に祭りを仕切る重要な役割を担っています。
●てんてんつき
灘のけんか祭りに登場する獅子檀尻(台車を外すと獅子屋台に変身)のことで、太鼓の音が「てんてん、ててんてん…」とほかの屋台とは違う高い音色が響きます。地元では親しみを込めて「てんてんつき」と呼ばれています。てんてんつきは、差し上げた後に倒しながら思い切り地面に叩きつけられても太鼓が止まることはありません。先陣として悪霊を払い清め、祭りが無事に進行できるようにという願いが込められています。またこの太鼓の音は「残したい日本の音風景百選」に選ばれています。
●ケンゴー
灘のけんか祭りで3基の神輿合せを行うときに使う竹の棒のこと。神輿が倒れるのを防いだり、ぶつけ合うときに支えたりする役割をしています。
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年9月27日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。