神戸市中央区、山陽新幹線・市営地下鉄新神戸駅の山側からほど近い場所にある「布引の滝」。布引渓流にあり、「雄滝(おんたき)」「雌滝(めんたき)」「夫婦滝(めおとだき)」「鼓ヶ滝(つつみがたき)」の4つの滝から成り立っています。日本三大神滝の一つとも言われ、滝の周辺はハイキングコースとしても人気のスポット。滝の美しさはもちろん、その周辺を取り囲む豊かな自然も魅力です。今回は徒歩で巡るスポットやロープウェイでの行き方など、おすすめのモデルコースを紹介します!
・「布引の滝」とは?
神戸を代表する景勝地として知られている「布引(ぬのびき)の滝」は、新神戸駅の山側から生田川中流にかかる滝。「雄滝(おんたき)」、「雌滝(めんたき)」、「夫婦滝(めおとだき)」、「鼓ヶ滝(つつみがたき)」の4つの滝をまとめて指します。
「布引の滝」は、栃木県日光市の「華厳(けごん)の滝」、和歌山県那智勝浦町の「那智(なち)の滝」と並び、“日本三大神滝”の一つ。日本の滝100選にも選ばれていて、日本を代表する名爆だけに多くの観光客が訪れます。
神戸の玄関口・山陽新幹線新神戸駅からすぐのところにあり、徒歩5分ほどで一つ目の滝にアクセスできます。駅近ながらも豊かな自然に囲まれていて、四季折々の風情が楽しめるのが魅力。観光はもちろん、ちょっとした息抜きにぴったりのスポットです。
・新神戸駅から出発!歩いて巡るモデルコース
山陽新幹線新神戸駅の1階に、登山支援拠点「トレイルステーション神戸(通称トレコ)」があり、ここでは登山用品のレンタルやグッズの購入、荷物の預かりなどが可能です。登山経験が豊富なスタッフがいるので、ルートや装備など分からないことは相談してみて!
トレコのすぐそばにある出入り口を出ると、「布引の滝0.4KM」と書かれた、大きい案内板が見えます。
案内に従って進み、新神戸駅の高架下トンネルを通っていくと、「布引の滝」へと続く道に出ますよ。
コースをスタートしてまず見えてくるのが、重要文化財にも指定されている「砂子(いさご)橋」。明治30年ごろ、布引谷から北野・奥平野浄水場へ導水管を渡すために建設された石造りのアーチ状の橋です。外側から見ると特にレトロ感が漂い、風情ある佇まいが特徴。
「砂子橋」を渡った先の看板を分岐点に「布引の滝」への道のりが続きます。「雌滝」へ行く場合は左へ、「雄滝」へ行く場合は石階段を登る方へ、二通りのルートからチョイスして。
雌滝(めんたき)
新神戸駅を出発してわずか5分ほどで到着する「布引の滝」の一つ目「雌滝」。落差約19mの緩やかな段差を水が流れ落ちます。力強い「雄滝」とは対照的に、優雅でしっとりとした雰囲気が特徴。訪れる人に癒やしを与えてくれます。
上流の滝まで巡る時間がない…という人は「雌滝」だけでも十分美しい景色を楽しめますよ。
鼓ヶ滝(つづみがたき)
さらに5分ほど歩いたら二つ目の「鼓ヶ滝」に到着。上下2段に分かれてこぼれ落ちる滝の音が、鼓(つづみ)を打つ音に似ていることから名付けられたんだそう。現在は、過去の洪水によって岩が崩れ落ち、その音は聞くことができませんが、流れる水の音に耳を傾けてみて。
落差は約8mと他の滝と比べて小規模ですが、滝の形状や響きが独特で、その魅力は十分に感じられます。特に新緑や紅葉の季節は、自然の色彩と滝の白い水流が美しく際立ちます。
夫婦滝(めおとだき)
三つ目の「夫婦滝」は「鼓ヶ滝」から5分ほど。まるで夫婦が寄り添っているように見えることから「夫婦滝」と呼ばれています。
二俣に分かれ、「雄滝」の直下に位置しているので、二つの滝を一度に見られるダイナミックな光景は圧巻。滝の前にはベンチが設置されています。マイナスイオンをたっぷり浴びながら自然のパワーをチャージしてみては。
雄滝(おんたき)
最も有名な「雄滝」は約43mの高さを誇り、勢いよく流れ落ちる滝とその水量は迫力満点!落下する水が岩に当たり、飛沫が霧のように広がる様子はまるで自然のショーを見ているかのよう。布引渓流の象徴とも言える滝は、一見の価値あり!
古来から多くの人が訪れていて、古典文学にも数多く登場していたんだとか。平安時代の貴族たちが滝の美しさを歌に詠んだことでも有名です。
「夫婦滝」を登った先にあり、目の前には「雄滝」を見ながら休憩できる「おんたき茶屋」。創業110年の老舗です。
『おんたき御膳』(昼2,200円/夜3,850円)や『布引ラーメン』(880円)などの食事から『ぜんざい』(660円)や『抹茶セット』(880円)といった甘味、さらにアルコールなどのドリンクまで充実したラインアップがそろいます。
都会の喧騒から少し離れて、のんびり過ごしに立ち寄ってみてはいかが?「おんたき茶屋」の詳細は公式HPにて確認を。➡︎公式HPはこちら
●店舗情報
営業時間:平日 11:00~17:00、土日・祝日 10:00~17:00
定休日:木曜日
さるのかずら橋
「雄滝」よりも少し上の位置にある「さるのかずら橋」。2006年に六甲山国立公園編入50周年記念事業の一つとして、徳島県の「祖谷のかずら橋」に似せて装飾して造られました。特に紅葉の季節になると、橋の上から木々が彩る景色を堪能できます。
五本松かくれ滝
「布引ダム」の横にある、知る人ぞ知る「五本松かくれ滝」。雨などで貯水池が満水になり、放流する時だけ流れる幻の滝です。普段なかなか姿を現さないので、見れたらラッキー!
布引ダム(布引貯水池)
コースを登っていくと巨大な石張りの堰堤(えんてい)が見えてきます。この堰堤は「布引ダム(布引貯水池)」と呼ばれ、正式名称は「五本松堰堤」。1990年に建設された日本最古の重力式コンクリートダムで、国の重要文化財でもあります。
神戸市街からの距離が近いにも関わらず、静かで落ち着いた雰囲気。都会の喧騒を忘れ、静寂と自然の美しさに包まれた癒やしのスポットです。ダムを囲む大自然はもちろん、水面に映る木々や空の風景も見どころ!
みはらし展望台
「布引ダム」からコースを下ること15分ほどのところにある「みはらし展望台」。神戸のまち並みを眼下に眺めることができる場所として人気です。
「雄滝」からショートカットして行くことも可能。ハイキングに訪れて森林浴を楽しんだら、神戸の絶景もぜひご覧あれ。
徳光院(とくこういん)
コースの締めくくりに「徳光院(とくこういん)」に立ち寄ってみては?1906年に創建された、京都嵯峨野の臨済宗天龍寺派の寺院です。院内には自由に出入りできるようになっていて、座禅や写経が行われています。
兵庫県最古で神戸市内唯一の「多宝塔」は、国の重要文化財に指定されています。約3.6mの小塔ですが、全体的にバランスが整っていて細部の造りがとても美しく、つい見入ってしまうほど。
特に秋は周りの木々がきれいに色づくので、紅葉の時期に訪れる人が多いんだとか。「布引の滝」周辺の紅葉狩りも楽しみに訪れてみては?
・【ロープウェイを使った巡り方】
坂道を登っていくのは体力が心配…という人はロープウェイを使うルートもあります。「神戸布引ハーブ園/ロープウェイ」風の丘中間駅出口からもハイキングコースにつながっているので、行きはロープウェイを使い、帰りはゆっくり歩きながら下山するのもいいですね♪
また、「布引の滝」近くには季節ごとにハーブや花々を楽しめるスポット「神戸布引ハーブ園/ロープウェイ」があります。ハーブ園を散策したあとに、ゆっくりと滝を巡るコースもおすすめ!
ロープウェイを使用する場合は、新神戸駅近くにある「神戸布引ハーブ園/ロープウェイ」山麓駅で事前にチケットの購入を。
神戸の中心地からもほど近く、豊かな自然とともに美しい滝が堪能できる「布引の滝」。春の新緑や夏の涼風、秋の紅葉、冬の凍結した姿など四季折々に異なる美しさを眺めながら、滝周辺を散策してみてはいかが?
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年10月1日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。