神戸市垂水区、JR・山陽塩屋駅から北へ向かって坂を歩いて上ること約7分。毎週土曜にカフェ「シフクノオト」でオープンする、天然酵母パンと焼き菓子の店「ヒカリノ」があります。米と糀(こうじ)から起こした自家製天然酵母で作るパンは、もっちりふかふかでほんのり甘みも感じられる優しい味わい。国産小麦粉とノンバターで作る、こだわりの焼き菓子もチェックして♪
・天然酵母と焼き菓子の店「ヒカリノ」
神戸市垂水区、JR・山陽塩屋駅から北に向かって徒歩約7分。坂を上りきった住宅街の中にひっそり隠れる一軒家カフェ「シフクノオト」があります。そこで毎週土曜に営業しているのが、天然酵母パンと焼き菓子の店「ヒカリノ」。知る人ぞ知る人気のお店です。
階段を下って左手にある民家の引き戸がお店の入り口です。初めて訪れるお客さんは、お店と気付かず通りすぎてしまいそうなノスタルジックな雰囲気が漂います。
扉を開けると、すぐ目の前にショーケースが。中にも上にもパンと焼き菓子がずらりと並び、目移りしてしまいそう。白を貴重としたナチュラルな空間に、古道具を飾ったフォトジェニックな店内は、インテリアを眺めるだけでも楽しい気分に。
・「ヒカリノ」に込められた思いとこだわり
「ヒカリノ」のパンはすべて、“酒種酵母”を使用した天然酵母パン。店主が天然酵母パンと出合ったのは、長年悩み続けていたアトピー体質を改善したいと西洋医学や食事療法を調べていたときだったそう。本を読みながら見よう見まねで天然酵母パンを焼いてみたところ大成功。自家製天然酵母のパン教室に通い、酵母を育てて焼き続けるうちに、米や果実でパンが膨らむ“自然の持つ力”に魅せられたんだとか。
酵母の原料となる米や糀(こうじ)は、無農薬や特別栽培で手間暇かけて育てられたものを厳選。他にも、パンと焼き菓子に使う野菜やフルーツは、店主が味そのものや生産物に対する思いに惹かれた生産者から仕入れています。さまざまなジャンルの生産者の思いや素材そのもののおいしさを、パンを通じてお客さんへ伝えることを何よりも心がけているそう。
小麦粉は北海道産を中心とした国産のもの、砂糖は粗製糖(そせいとう)やきび砂糖、てんさい、サトウダイコンから作られたグラニュー糖など、パンの種類によって使い分けているのもポイントです。
店名には、春のやわらかい光や夕暮れの包み込む光、雲間から差し込む光など、時間によってさまざまな表情を見せる光のように、「そっとそばに寄り添うような優しいパンを届けたい」という思いが込められています。
・米と糀の力で作る天然酵母パン
手前から『カンパーニュ』420円、『酒種食パン』400円
※どちらも販売はハーフのみ。写真は1本(ワンホール)
天然酵母独特の風味をシンプルに楽しむなら、食パンやカンパーニュがおすすめ。甘酒のような上品な甘い香りが特徴的です。どちらもクラスト(皮)はしっかりしていますが、中は驚くほどもっちりフカフカ!この弾力と香りの豊かさは、酒種酵母ならでは。しっかり噛んで、一口一口小麦や糀の風味を感じて。
左から『蓮根チーズ』250円、『鳴門金時カンパーニュ』400円、『ジャガイモフォカッチャ』370円
野菜をふんだんに使ったパンも充実しています。野菜は、店主が信頼をおいている兵庫県西宮市の八百屋「やおすけ」で目利きしてもらったものを中心に使用。フルーツも、なるべく直接顔が見れて信頼できる農家から直送してもらっているそう。どのパンも野菜やフルーツがごろっと入っていて、食べ応え抜群!カットの大きさや使われいる野菜の量から、野菜本来の味や食感も大切にしているオーナーのこだわりが伝わってきます。
特に定番の『ジャガイモフォカッチャ』はビッグサイズで、初めて見た人は衝撃を受けるかも。圧力鍋でほっくりと炊き上げた季節のジャガイモを包み込むように成形するのが、ふんわり感を保つためのポイントだそう。上にパラリとかかったピンクソルトとブラックペッパーのアクセントが、小麦粉やジャガイモ本来の滋味深い味わいを一層引き立てます。
『クロックムッシュ ハーフ』各280円
『カンパーニュ』や『酒種食パン』を使った『クロックムッシュ』は、牛乳と有機豆乳をブレンドして作った特製ベシャメルソースが自慢。10年以上も作り続けているレシピなんだとか。こんがりと茶色い焼き目がついたチーズを見れば、きっと食べたくなること間違いなしです。
サンドイッチも毎週3種類ほど登場。それぞれのサンドイッチに対し、「ボリューム控えめ」と「ボリューミー」の2種類があり、ボリューム増しの方は大きく口を開けても入りきらないほど具だくさんなのが魅力です。写真は左から『ボリューミーササミチキンカツ』(550円)、『卵サンド大』(400円)、『鳥八さんのチキンを使ったチキンと卵の野菜一杯サンド(※不定期販売)』(550円)。
人気No.1は、「鳥八商店」の新鮮なササミと、こだわりの飼料を食べて育った鶏が産んだ「龍の卵」のゆで卵をサンドした『ボリューミーササミチキンカツ』。野菜のシャキシャキ感とササミカツのしっとり柔らかい食感のコントラストが絶妙です。味はシンプルにケチャップのみなので、子どもも食べられそう。
・体に優しいノンオイルの焼き菓子
『ノンバタースコーンプレーン』200円
国産小麦粉や精製していない砂糖、バターの代わりに米油を使うなど、厳選材料で作る体に優しい焼き菓子にも注目を。まず食べておきたいのが『ノンバタースコーンプレーン』です。バターを使っていないのに、食感は信じられないほどサックリ。後味があっさりしているので何個でも食べられそう。
『酵母タルト いちご』400円※不定期販売
天然酵母を使用した『酵母タルト』。通常タルト生地に使わない天然酵母を加えてしっかり寝かせることで、風味豊かな味わいに仕上がるそう。タルトはホロッと軽く、中のダマンドはしっとりふわふわ。いつもとちょっぴり違う食感がクセになるかも。
フルーツは季節によって変わり、取材日は長崎県産「ゆめのか」と香川県産「さぬきひめ」の2種類のイチゴがたっぷりと。優しい甘さのタルトを食べて、フルーツのおいしさを存分に味わって。
左から『マリトッツォ』350円※不定期販売、『マリトッツォ台湾パイナップルミニ』200円
同店のひと味違う『マリトッツォ』にも注目して。一般的なブリオッシュ生地ではなく、ソフトなドーナツ生地でクリームをサンドするのが最大の特徴。クリームは生クリームとクリームチーズをブレンドして、爽やかでクリーミーな味わいに仕上げています。
フレーバーはクリームのみと、クリームの上にトッピングがのったものの2種類があり、それぞれ通常サイズとミニサイズを用意しています。トッピングは生のフルーツやコンフィチュールとクリームを合わせたもの、ジャムなど、その時々で変わります。買ってそのまま食べるのも良いですが、しっかり冷やしてから食べるのがおすすめ。冷やすと“レアチーズ風マリトッツォ”になり、ケーキのようなリッチな味わいに。温度の変化で食感の違いも楽しめるので、最後まで飽きずに食べられます。
毎週土曜の営業のほか、イベント出店や委託販売をすることも。パンの事前予約や営業スケジュールは公式Instagramからチェックして。➡︎公式Instagramはこちら
■詳細情報
■DATA
ヒカリノ
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2023年4月13日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。