レトロな街並みが色濃く残る高砂市高砂町。歴史を感じる建造物や白漆喰の蔵、格子のある家が軒を連ね、どこか懐かしい情緒ある雰囲気が“エモい!”と話題になっています。歴史的景観形成地区や日本遺産にも指定され、歴史ある街並みと現代の生活が調和する高砂。名所や古民家カフェ、小物作りワークショップなど、おでかけにおすすめのスポットを紹介します!
※新型コロナウイルス感染蔓延防止の観点から、町歩きの際は4人以下の少人数で訪れるようご配慮ください。観光施設の営業については高砂市観光交流ビューロー(079-441-4790)まで、古民家カフェなどの個店につきましては、各店舗に直接問い合わせください。
1.工楽松右衛門旧宅 (工楽家旧宅)
丈夫な帆布を生みだした工楽松右衛門の旧宅を公開
江戸時代後期に建築された、高砂の代表的な商家。航海に革命的な進歩をもたらした帆布(はんぷ)「松右衛門帆(まつえもんほ)」の生みの親、工楽松右衛門(くらくまつえもん)の居宅です。その当時、海運業や港湾改修などを行なった港湾土木の先駆者として知られています。
築200年ほどの老朽化した居宅をなるべく当時の様式に復元するため、1年4カ月の修復期間を経て、一般公開されています。
軒下に使われている白漆喰は、家を火事から守るために施されたそう。さらに、水を連想させる波の形にすることで、火事を防ぐという意味も持ち合わせています。
中に入ると、工楽松右衛門にまつわる解説動画が観られるモニター室があるので、まずは試聴してから見学がおすすめ。奥に進むと、通り庭や高砂の竜山石で作られた井戸、レンガ造りの炊事場、和室などが9部屋あります。吹き抜けの梁には、曲がった松の木を使用した構造で、現代の家屋と違った趣が感じられます。
2階に上がると洋間の応接室や子どもの勉強部屋などが6部屋あります。部屋の一角には、当時の町並みを再現したジオラマの展示も。風情あふれる江戸の町並みにタイムスリップした気分が味わえそう。
年に3〜4回、テーマに合わせた特別展示もあり、工楽松右衛門のことだけでなく日本の歴史を知ることもできます。1人でふらり立ち寄ったり、子どもと一緒に訪れたり、当時の暮らしを想像しながらルームツアーしてみて♪
■DATA
工楽松右衛門旧宅 (工楽家旧宅)
- 所在地
- 兵庫県高砂市高砂町今津町532
- 電話番号
- 079-490-4790
- 営業時間
- 9:00〜18:00
- ※緊急事態宣言中も通常営業を行っています(2021年8月24日時点の情報)
2.魚町倶楽部
明治モダンを感じるおしゃれな木造洋館
明治時代に建てられた木造2階建ての洋館。神戸製紙(現三菱製紙)に勤める外国人技師の居住施設として築かれました。モダンな外観は周辺の街並みに溶け込んでいます。
現在は三菱製紙社員の厚生施設として利用されているため、外からの見学のみ可能。明治時代の洋館の特徴であるアーチ型の入り口、玄関の飾り柱、窓の鎧戸(よろいど)があり、レトロな西洋建築を間近で見ることができます。
例年9月に行われるイベント「たかさご万灯祭」では屋内の見学ができ、夜にはライトアップも実施。(※2021年は中止)
情緒あふれる写真が撮影できるフォトスポットとしても人気の「魚町倶楽部」。歴史を身近に感じられる洋館に立ち寄って、思いを馳せてみて。
■DATA
3.梅ケ枝湯
創業80年以上の昔ながらの銭湯
昭和初期創業の銭湯「梅ケ枝湯(うめがえゆ)」。現在もお湯を薪で沸かし、やわらかく肌触りの良いお湯が定評を集めています。
のれんがかかった入り口は、モルタル造りの壁。のれんには昭和レトロ感を倍増させる「ゆ」の文字が。
木とレンガの混構造になった建物の裏側が見どころ!外観はほとんど手を加えず創業当時のままを維持しています。ユニークな外観が目を引き、立ち止まって撮影だけする人も少なくないそう。
風呂場の浴槽は2種類あり、熱い湯とぬるめの湯のみ。壁にはモザイクアートが施され、ヨーロッパの街並みをモチーフにした絵が描かれています。内観の撮影は不可なので、実際に足を運んで確かめてみて。
■DATA
4.宝瓶山 十輪寺(ほうびょうざん じゅうりんじ)
重要文化財の本堂や、市指定の文化財など見どころたっぷり
浄土宗を広めた法然上人と縁のある二十五霊場の1つとして、多くの人が参拝に訪れる「十輪寺」。1693(元禄6)年に建立された本堂は、兵庫県指定の重要文化財に指定されています。
約4200坪ある広い敷地には、高砂市指定の文化財の山門のほか、大玄関、小玄関、工楽松右衛門の墓などもあり、見ごたえ十分。
本堂の中は自由に見学ができ、無料で拝観することができます。本堂内は渡り廊下でつながっていて、中心にある立派な庭も必見。
造園家の中根金作が手がけた庭園には、大きくそびえ立つ高砂市指定のソテツの木や、鶴と亀に見える縁起のいい石、鞍馬石(くらまいし)などがあり、どれも迫力があります。
縁側で腰をかけて、歴史を感じながらのんびり過ごすのも一興。
境内には水子地蔵大菩薩(みずこじぞうさいぼさつ)もあり、安産祈願のパワースポットとして訪れる人も多いそう。空を背景に撮影すると、地蔵のシルエットが浮き上がり絵のような1枚に。
厳かな雰囲気の中で、時間を忘れて参拝しませんか。
■DATA
5.三連蔵
明治初期に建築された3つに連なる蔵
明治初期に建築された「三連蔵」。その当時、お祝いの時に使う食器やお膳などを収納する納戸として使われていました。兵庫県の景観形成重要文化財に指定され、保護されているため、外からのみ見学可能です。
白塗りの壁は30センチもの厚みがあり、重々しさが感じられます。昔ながらのレトロな街並みをゆっくり散歩して。
■DATA
6.御影屋
丈夫な松右衛門帆で作ったかばんや小物を販売
現存する日本最古の帆布「松右衛門帆」を復元し、かばんや小物を製造している「御影屋」。
厚くて丈夫でありながら柔らかさと軽さを兼ね備えた「松右衛門帆」を使用し、一つ一つ丁寧に手作業で品質にこだわったものづくりをしています。
店内には色鮮やかなアイテムがずらり。普段使いに重宝するトートバッグやショルダーバッグ、仕事にも使えるビジネスバッグのほか、ポーチやペンケースなどの小物類も豊富に取りそろえています。一度使うと、その使い心地のよさに惚れ込む人も多いそう。
500円で体験できる小物作りのワークショップも随時開催。子どもから大人まで参加でき、少人数であれば予約なしで体験できます。所要時間は10分程度なので気軽に参加してみて。
※大人数の場合は事前予約推奨
敷地内にある工場は無料で見学ができます。松右衛門帆ができるまでの解説や古い力織機(りきしょっき)を見ることができるので、家族や友達を誘って参加するのも楽しそうですね。(※工場見学は要事前予約)
■DATA
7.季のしずく
和モダンな町屋カフェでホッと一息
築100年近い町家と洋館が連結した和洋折衷構造のカフェ「季(とき)のしずく」。中に入ると、おばあちゃんの家にきたような懐かしい空間が広がります。時間を忘れてゆったりとカフェタイムを楽しめそう。レンタルスペースとしての利用もでき、不定期でワークショップやギャラリー展示も開催しています。
訪れたらチェックしてほしいのが、ハート型の猪目窓(いのめまど)。魔除けとして火事から家を守り、福を呼ぶとも言われていて、お寺や神社などでもパワースポットとして話題になっています。季節の移ろいも感じられ、写真映えが狙えること間違いなし!
カフェメニューは、日替わりのスイーツやあんみつ、ぜんざいなどがスタンバイ。日替わりスイーツで登場する『フルーツ大福』は、人気No1メニュー。やわらかい求肥となめらかな白餡、旬のみずみずしい果実が口の中でじゅわっと弾けます。
フレンチプレスで淹(い)れる『コーヒー』も合わせてオーダーを。挽きたての豆を使用し、スッキリまろやかな飲み口で和菓子と相性抜群です。
このほか、カフェラテやほうじ茶ラテなど和スイーツに合うドリンクを用意しています。
クリスタルのように透き通る『わらびもち』もおすすめ。上品な甘さの黒蜜と香ばしいきな粉を絡めていただきます。絹のようになめらかで、つるんとした喉越しがやみつきになりそう。
友人と談笑したり、一人で静かに本を読んだり、思い思いの時間を過ごしてみませんか。
■DATA
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2021年8月6日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。