姫路最西の港町・網干の漁港にある「貝と魚食堂」は、地元で捕れた新鮮な貝や地魚が主役の定食がいただける水産会社直営の定食屋。新鮮さやおいしさはもとより、約10種類の中から好きな小鉢を選べることや、地元の野菜をたっぷり使った季節感あふれる献立が人気の秘密です。8月~10月末ごろは、坊勢や室津で捕れたタコを使った『蛸づくし定食』が新登場!この時期にしか味わえない季節限定メニューを食べ逃しなく♪
・水産会社直営「貝と魚食堂」
播磨灘に面する網干港の港内にある「貝と魚食堂」は、漁港と小売業者の間を取り持つ魚の仲卸業者が営む、鮮魚が自慢の食堂です。
オープンのきっかけは、コロナ禍で魚の売れ行きが落ち込んだ漁師の悲嘆の声と、毎年夏ごろに問題となる“未利用魚※”の廃棄問題を解決したいという思いから。漁師や漁港組合で話し合い、未利用魚を始めとする行き場のない魚を料理という形で一般のお客さんに届けることが決まりました。
※未利用魚とは…形の悪さや小ささ、傷などを理由に、価値が付かずに廃棄される魚のこと。
店内は、“漁港にある食堂”というイメージを覆すような木目で統一されたナチュラルな雰囲気。4人掛けテーブルが多く、ファミリーでも気軽に利用しやすいのがうれしいポイントです。
テーブル席のほか、カウンター席も4席ほどスタンバイ。おひとり様も気兼ねなく利用できますね。
同店では「おいしい魚をなるべく低価格で提供したい」という思いから人員を減らし、料理の提供は一部セルフサービスに。入店後はまず席を確保し、レジで注文。その後、小鉢やお冷をのせたお盆をテーブルへ運び、料理の出来上がりを待ちます。小鉢以外の料理はスタッフに席まで持ってきてもらえるのでご安心を。
・「坊勢タコ」や「播磨の牡蠣」を使った“魚のご当地グルメ”を
『蛸づくし定食』1,600円 ※8月~10月末ごろまで。数量限定
室津港や目の前の網干港で揚がった前捕れの魚を、刺身や焼き魚、煮魚など、いろんな料理で味わえるのが同店の定食の醍醐味。夏季は『蛸づくし定食』、冬季は『かきフライ定食(11月~GWごろ限定)』が登場します。
この夏限りの季節限定メニューとして提供されていた『蛸づくし定食』が好評につき、提供期間が10月末まで延期に!タコの天ぷらに煮付け、刺し身など、坊勢や室津で捕れた近海のタコを惜しまず使った、まさに“タコ尽くし”な定食です。
刺し身から伝わってくる、ほどよい弾力と透明感ある色つやが新鮮な証拠。大きめにカットして調理した天ぷらや煮付けは、タコならではの食感や風味を十二分に味わえます。
タコの煮付けのみテイクアウトも販売(100g/640円)しているので、気に入ったら夕食の一品に買って帰っては?
『かきフライとお造り定食』2,000円 ※11月~GWごろまで
お店の目の前に広がる播磨灘では、例年11月~GWごろに牡蠣がよく捕れます。同店では、「網干港」や「岩見港」、「室津港」といった近くの漁港から直接仕入れた「播磨の牡蠣」を使って、カキフライや蒸しガキなどを提供。中でも『かきフライとお造り定食』が、カキフライだけでなく自慢のお造りも食べられる欲張りな内容とあって人気を集めています。
「室津牡蠣」の特徴は、独特のえぐみが少なく食べやすいということ。一般的に牡蠣は、出荷までに2~3年の生育期間が必要ですが、近くに揖保川が流れ山のミネラルや栄養を海水に多く含む室津では、わずか半年ほどで育つんだそう。大きさは小ぶりですが、中にはうま味がギュッと詰まった濃厚な味わいは、一度食べると忘れられなくなるかも。
『かきフライとお造り定食』には、ミニサイズの刺身盛りが付きます。こちらも日替わりで内容が変わるので、詳しくは直接確認を。
例年2月ごろからは室津のアサリ、3月以降はアカガイやトリガイ、タイラギガイといった前捕れの貝を使った定食も登場します。貝好きは、こまめに公式Instagramをチェックしてみて♪ ➡︎公式Instagramはこちら
・朝捕れ・前捕れの新鮮な地魚を使った定食も常時スタンバイ
このほか、室津港や目の前の網干港で揚がった前捕れの魚や、その日の朝に揚がった朝捕れの魚を使った定食が豊富にスタンバイ。おいしくて新鮮な魚が安定して仕入れられるのは、水産会社ならでは。一匹ずつ店主が直接目利きしさばく、丁寧な仕事ぶりもおいしさの理由です。
ラインアップは『お造り定食』や『魚フライ定食』など全8種。どれも身も心も満たされるボリューム満点のメニューです。
お客さんの心をわしづかみにしているのが、選べる日替わり小鉢。毎日手作りの小鉢を10種類ほど用意していて、定食を注文の人はその中から好きなものを3種類選べます。
取材日の小鉢は「数の子」「かぼちゃのきんぴら」「小芋煮」「白菜煮もの」などが登場。なるべく地元の野菜を使い、地産地消と旬の食材選びを心がけています。家庭的な味わいとなじみのある献立に、心がほっこりと温まります。
『お造り定食』1,700円
鮮度の違いや魚のうま味をシンプルに味わいたいという人は、まずは『お造り定食』を食べてみて。
7~8種類の日替わりの刺身が主役の贅沢な一品です。舌に吸い付くようなしっとりとした食感や溶け出るうま味、脂のりの良さが新鮮な証拠。マグロやイカ、サーモン、シラサエビなど、さまざまな魚貝が美しく盛り付けされた華やかなビジュアルにも心を奪われます。時には、タコやコノシロ、ガシラ、メバルといった室津産の魚が登場することもあります。
刺身は、九州の甘しょう油でいただくのが店主のこだわり。甘めのしょう油が魚の脂と調和し、うま味がアップします。しょう油をたっぷり付けた刺身を白ご飯にのせ、海鮮丼のようにして食べるのもおすすめ。お箸が止まらなくなるおいしさに、女性でもお替わりする人が多いとか。白ご飯はお替わり一杯分が無料なのもうれしいですね。
『本日の煮魚定食』1,200円~、『本日の焼き魚定食』1,200円~
煮魚と焼き魚の定食も、日によって魚の種類が変わります。取材日の煮魚は「タイのアラ煮」(1,500円)、焼き魚は「シャケの西京焼き」(1,500円)が登場。
煮魚はしょう油のみで味付けするのが漁師流。同店でもその作り方にならい、たつの市の「矢木醤油」のみで味付けしています。
「シャケの西京焼き」はサケをフィーレで買い付け、店内でさばき、特製の西京みそに漬け込むほどのこだわりぶり。ほんのりみその風味が香る優しい味わいとほどよい塩気が、食欲をかき立てます。パリッと香ばしく焼き上がった皮まで、余すことなく召し上がれ。
・『まぐろ丼定食』も隠れた名物!
『まぐろ丼定食』1,550円
マグロをこれでもかというほどたっぷりのせた『まぐろ丼定食』も隠れた名物。マグロは東京のマグロ専門店から直接買い付けた良質なものだけを提供するのがこだわりです。夏場は、味が濃厚ながらも脂身があっさりとしているインドマグロ、11月ごろからは大間の本鮪が入ります。
また、マグロが入荷してから数日間だけ提供される『すき身丼』(+400円)は1日先着約5人だけの超レアメニュー。骨からすいたマグロのすき身を、同店自慢の各定食に付くご飯の上にのせてもらえます。見かけたときはぜひ味わって。
・姉妹店「あなごの大孝(だいこう)」の穴子の箱寿司も販売
『箱寿司』1,280円
過去にTVやメディアでも取り上げられたことがある「あなごの大孝」の『あなご弁当』も、ここに来たらぜひ味わってほしいおすすめの一品です。しかも、好みの小鉢が一品付く同店限定のサービスもあります。
穴子のタレは、半世紀以上も前から続く秘伝のレシピなんだそう。穴子の骨や頭を一緒に煮込むことで素材そのもののうま味を最大限に生かし、深みのある味わいに仕上げています。
『煮穴子と焼穴子の弁当』1,950円
煮穴子と香ばしい焼穴子を両方堪能したいときは、『煮穴子と焼穴子の弁当』をチョイスして。一匹ずつ丁寧に手で焼いた穴子は、皮目は強火でしっかりと、表面は上火のガスで焼き上げることで、皮目はパリッと身はふっくら。一方の煮穴子はふわっとやわらかく、食感の違いが一口一口しっかりと感じられます。
メニューは『あなご弁当』の中(1,600円)と特上(2,100円)、『煮穴子と焼穴子の弁当』(1,900円)、『箱寿司』の4種類。テイクアウトもできるので手土産にもおすすめです。
地元で捕れた貝や地魚をふんだんに使った定食で、いつでも新鮮な魚介のおいしさをお客さんに届ける「貝と魚食堂」。タイミングが合えば、普段あまり見かけないような珍しいネタや近海の魚とも出合えるかも。訪れたことがある人もそうでない人も同店の定食を味わい、魚の魅力にどっぷりつかってみては。
■詳細情報
■DATA
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年9月18日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。