山陽電鉄伊保(いほ)駅から徒歩約10分のところにある「ごはんとお茶 ここの木」。薬膳の考えを取り入れた季節のランチと本格中国茶がいただけるカフェです。自宅の一角を改装した店内は、作り手の顔が見えるほっこり空間。ちょっと疲れたとき、体をいたわりたいときにおすすめです。完全予約制なので予約を忘れずに。
・安らぎのカフェ「ここの木」
高砂市の住宅街にたたずむカフェ「ここの木」。薬膳の考えを取り入れた季節のランチと本格的な中国茶を提供しています。店主は、国際薬膳調理師の資格を持つ薬膳のプロ。自宅の一部を改装し、念願のカフェをオープンしました。
「ゆったりと自分の時間を過ごしてもらいたい」という思いが詰まった店内は、自然光がたっぷりと降り注ぐ心地よい空間。靴を脱いで上がるとすぐに大きなテーブルがあり、横には厨房が。作り手の顔が見え、まるで知人の家にお呼ばれしたような気分になります。
・まずは中国茶でおもてなし
料理の前には、お茶に精通した店主が本場の茶器を使って丁寧に淹(い)れる本格中国茶のもてなしがあります。
茶葉は神戸の中国茶専門店に買い付けに行くこだわりぶり。茶葉によって、中国茶の先生から習った由緒正しい作法で淹れているそう。目の前で繰り広げられるパフォーマンスは圧巻です。お湯が沸く音やお茶を湯飲みに注ぐ音に耳を傾けて、静かなお茶の時間を楽しんで。
通常、中国茶のおもてなしは1種類ですが、この日は2種類登場。まず最初に登場した「梅の花湯」は、小さな梅の花がふわりと浮いた一杯。澄んだ味わいとほんのり舌に残る梅の香りに心が和みます。
2杯目は、香り豊かなジャスミン茶。グラス越しに向こう側の景色が見えるほど透明感があるのに、しっかりとした華やかな風味が感じられます。お替わりの用意があるのもうれしいですね。
・二十四節気に沿った体をいたわるランチ
『小寒のごはん(食後のお茶請け付き)』2,500円
ランチは1種類のみ。家庭料理に薬膳の考えを取り入れ、二十四節気※を意識した内容になっています。その時期にあらわれやすい体の不調を考慮し、旬の食材で丁寧に作るランチは、体をいたわる優しい味わいが魅力です。ランチは完全予約の二部制となっているので、必ず公式Instagramか電話で事前予約をしてから訪れて。➡︎公式Instagramはこちら
料理には市川町の「牛尾農場」の有機野菜やたつの市の「けんたろう農園」の無農薬米、姫路の「手柄みりん」など、素材から調味料までなるべく地場で無添加のものを使用し、味付けは最小限に。体に優しいだけでなく、見た目、香り、味すべてで食事を堪能できます。
※二十四節気とは…一年を24の節にわけ、季節の移り変わりの目安としたもの。立春、夏至、秋分などがそれにあたります。
取材日は二十四節気の「小寒(しょうかん)」に当たる日。寒さが極まる少し手前のこの時期は、体を温めてくれるショウガや、正月で疲れた胃腸を休め老廃物を流してくれる小豆や緑豆(りょくとう)などが取り入れられていました。
ランチは「できたてを温かいうちに」という店主の心遣いから、コース料理のように一品ずつ運ばれてきます。一品目の「大根の炊いたん」は、中までしっかりと出汁が浸みた上品な一品。おぼろ昆布の口溶けを楽しみながらゆっくり味わって。素材の味を生かした優しい味付けが、体中に染み渡ります。
続いて運ばれてくるのは、数種類のおかずが盛られたワンプレート。この日は、「よだれ鶏」や「菊芋コロッケ」といったメインのほか、旬のニンジンやサトイモ、紫キャベツを使った料理が登場。
大葉とミント、コリアンダーやパクチーなどのスパイスを和えた「サトイモのミント和え」は、ナンプラーが利いたちょっぴり異国風の味付け。スパイスは発汗作用があるため、体内の余分な水分を汗として出すのを助けてくれるのだとか。「よだれ鶏」の特製ダレにはネギとショウガを、ニンジンにはしょう油麹を使うなど、体に良い食材や調味料で作られているので、無理なく体に良い食事を摂れるのが魅力です。
メインの「八宝粥」は昆布出汁をベースにしたほっとする味わい。「けんたろう農園」の無農薬米をナツメ、クコの実、クリ、クルミ、ハトムギ、緑豆、ゴマ、黒米、レンシ(ハスの実)と炊き上げています。味付けはシンプルに塩のみ。クリや緑豆などの自然な甘さやゴマの香ばしい風味、クルミの食感などが生きていて奥深く、また食べたくなるおいしさです。
・食後にはこだわりのお茶と季節のお茶請けを
食後は自家製の季節のお茶請けとドリンクを味わうカフェタイム。ドリンクは、自家焙煎コーヒーと黒豆茶、中国茶の中から選べます。
1月のお茶請けは、一枚ずつ手焼きした小さなどら焼き。ハチミツ入りの甘めの生地にあっさりとした味わいの粒あんをたっぷり挟んだ食後にぴったりの一品。添えられた生クリームを付ければ、巷で人気の“生どら”を味わうことができます。
その横にちょこんとあるオレンジ色のスイーツは、「牛尾農場」のサツマイモをマッシュしたスイートポテトのようなもの。蜜をたっぷり含み、まぶしいほどの色鮮やかさが特徴の品種を使っているので、小さいながらも濃厚な味わいが楽しめます。
黒豆茶は、加西市の農家「SEN(セン)」のもの。大粒の黒豆がごろごろと入っていて、ポリフェノールがたっぷり。煎(い)った香ばしさと豆本来の甘みが食後の満腹を和らげてくれそう。
コーヒーは福岡県のコーヒー豆専門店「ウインドファーム」からフェアトレード※コーヒー豆を生豆の状態で取り寄せし、少し深めに自家焙煎しているのがこだわり。焙煎してから必ず3日以内に使い切り、新鮮な状態で提供しています。味わいは深いのに軽やかな口当たりで、ブラックでも飲みやすい味わいです。
※フェアトレードとは…発展途上国の原料や品物を適正な価格で買うことにより、生産者や労働者を守る貿易の仕組のこと。
“おいしい”と“体にいい”を同時にかなえてくれる「ここの木」。友人や家族とおしゃべりを楽しみながら、はたまたおひとり様でゆったりと、安らぎの時間を過ごしてはいかがでしょうか。
■詳細情報
■DATA
ここの木
- 所在地
- 兵庫県高砂市伊保東1-4-32
- 電話番号
- 079-448-2215
- 営業時間
- 一部/11:00~13:00
二部/13:30~15:30 - ※完全予約制(完全入れ替え制)なので、事前予約を忘れずに。
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2023年1月10日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。