加西市鶉野(うずらの)に2022年4月、平和学習ができる体験型ミュージアム「sora かさい」がオープンしました。館内には戦闘機「紫電改(しでんかい)」や、「九七式艦上攻撃機」の大型模型、当時の様子を写す貴重な資料が展示されていて、戦争や平和について肌で感じ、体感することができます。夏休みや連休に家族で訪れてみるのもおすすめ。見て、知って、感じて、当たり前になりつつある日常の幸せや尊さについて考えてみませんか?
・「sora かさい」
姫路市の中心地から車で約40分。加西市の南東部に位置する鶉野(うずらの)に、飛行場跡があるのを知っていますか?
「鶉野飛行場」は、第⼆次世界⼤戦の時代にパイロットを養成するためにつくられた「姫路海軍航空隊」の飛行場跡です。甲子園球場約70個分というとてつもなく広い敷地内には、1,200mに及ぶ滑走路が今も残されていて、周囲には防空壕など当時の面影を現在に伝える戦争遺跡も多く点在しています。
2022年4月には、飛行場跡の敷地内に体験型ミュージアム「sora かさい」がオープン。施設内には、太平洋戦争時の戦闘機「紫電改(しでんかい)」や、「九七式艦上攻撃機」の実物大模型が展示されていて、当時の貴重な資料や映像を通して平和について学習することができます。
オープンから1年を迎えた同館では来場者が12万人を超え、地元の小学生や、遠方は県外から、多くの人が訪れています。来館のきっかけは「夏休みの自由研究のため」「子どもが飛行機が好きで」などさまざま。戦争の記憶を次世代に伝えていく取り組みが重要になっている今、より身近に体験できるスポットとして注目を集めています。
・原寸の大模型が展示された大迫力の「技術ゾーン」
館内は、飛行機の大型模型が展示されている「技術ゾーン」と、資料や映像から歴史を学べる「歴史ゾーン」からなっています。
まずは巨大な格納庫からなる「技術ゾーン」へ。一歩足を踏入れると、そこには今にも空へ飛び出していきそうな2機の実物大模型の姿が!普段間近で見ることがかなわない、戦闘機の圧倒的な存在感に、訪れた人は息をのみます。「大きいなぁ~!」「かっこいい!」という子ども達の歓声が聞こえてきます。
目線の先に展示されている「紫電改」は、第二次世界大戦の末期に、滑走路の近くにあった「川西航空機姫路製作所 鶉野工場」で組み立てられていた戦闘機。自然豊かなこの地で、日本の将来を担う戦闘機がつくられていたとは驚きです。当時はスピード、エンジンのパワーなど、その高い性能から“ゼロ戦の後継機”としても注目を集め、“世界で一番優秀な戦闘機”とも言われていたそう。
全長9.37m、幅11.99m、総重量2トン。機体の色をはじめ操縦席の計器類など、細部に至るまで忠実に再現されています。この大きな鉄の塊が時速644kmで空を飛んでいたということが信じられないほど、重量感を感じずにはいられません。
青みがかかった緑のボディに、翼に描かれたオレンジの日の丸がよく映えます。
目線を上げると、天井には3人乗りの戦闘機「九七式艦上攻撃機」の実物大模型が。当時はパイロット養成に使用され、特攻機としても使われていたそう。まるで目の前を離陸していくかのような感覚に襲われます。
全長10.3m、幅15.52m、時速350km。下から戦闘機の“お腹”の部分を観賞したり、階段を使って2階に上れば、同じ目線で観覧することもできます。機体越しにパイロットが見たであろう加西の空を眺めてみては。
「技術ゾーン」は写真撮影OK。訪れる子どもたちはみんな夢中でシャッターをきるそう。自分だけのベストショットを狙ってみては。
室内に設置された大型スクリーンには、映像「鶉野飛行場の記憶」が映し出されています。当時ここがどのような場所だったのかなど、思わず立ち止まって見入ってしまうこと間違いなしです。
・さらに歴史に触れる「歴史ゾーン」
「技術ゾーン」でじっくりと戦闘機を見学した後は、横に設置された「歴史ゾーン」へ。「姫路海軍航空隊」の開隊から終戦までの期間にあった出来事を、全4編のストーリー映像にしてわかりやすく紹介しています。
映像とともに、鶉野に関する貴重な写真や図面、実物資料に触れることでより理解が深まります。
同飛行場で編成された特別攻撃隊(特攻隊)「白鷺(はくろ)隊」の隊員たちの遺書なども紹介。「日本を守るために自分達が戦わないと」と志願し、飛び立っていった練習生たちの勇姿を目に焼き付けて。
※「歴史ゾーン」は撮影禁止。
・カフェやお土産ショップもチェック
※写真はイメージです
小腹が空いたら館内に併設されたカフェ「soraカフェ」へ。ボリューム満点のハンバーガーや、カレー(土日祝限定)などの軽食を提供しています。
看板商品は地元野菜をたっぷり使った『soraバーガー』(800円)。溢れる肉汁と濃厚ソースが相性抜群です。テイクアウトもできるので、天気がいい日は外でピクニックを楽しむのもいいですね。
地元の人気ジェラート店「wacca」のソフトクリーム『牧場ソフト』(500円)は、食後のデザートにぴったり。ミルク感たっぷりでコクのある味わいは、子どもから大人まで幅広い世代に人気です。
『紫電改の魅力』『Kasai HAPPY Balloon』各980円
また、ショップでは、オリジナル商品を販売しています。まるで本のようなパッケージの箱の中には、キャラメルケーキorチョコレートケーキが入っています。ここでしか手に入らない思い出の品をゲットして。
※取り扱い商品及び価格は、変更される可能性があります。
・あわせて巡ろう!
北条鉄道「法華口駅」と「soraかさい」を結ぶエリア「鶉野フィールドミュージアム」には、「鶉野飛行場滑走路跡」や「防空壕跡」をはじめとした、さまざまな戦争遺跡が残っています。
1,200mの長さをもつ「鶉野飛行場滑走路跡」もその一つ。実際にこの地から九州の前線基地を経由して沖縄へ飛び立って行ったそう。
基地内最大規模の防空壕「巨大防空壕跡」を活用したシアターでは、姫路海軍航空隊の特別攻撃隊「白鷺隊」の隊員の遺書を紹介する約20分の映像を上映しています。暗くて狭い防空壕の中で、当時の人はどう感じていたか、思いをはせずにはいられません。上映は、土・日曜、祝日限定で、料金は別途かかるので、詳しくは公式HPをチェックして。➡︎公式HPはこちら
■上映時間
毎週、土・日曜、祝日に1日5回上映
①10:20~ ②11:20~ ③12:20~ ④13:20~ ⑤14:20~
※年末年始(12/29~1/3)は上映していません
毎年、終戦記念日や原爆の日などを迎える夏休みになると、親子で来場する家族が多いそう。年々薄れゆく戦争の記憶を次の世代へと伝えるためにも、家族で訪れて、“平和”を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?
※画像提供:神姫バスグループ