兵庫県はりまエリアの“楽しい”をチョイスする地域情報サイト TANOSU [タノス]
2024.5.10
12,113 views

【赤穂】「TORO」オープン!設計事務所が手がける古民家カフェスタンドで坂越と歴史を満喫♪

2024年3月15日、レトロで美しい町並みが趣深い赤穂市坂越に「TORO(トロ)」がオープン。建築設計とランドスケープデザインを手がける設計事務所とカフェスタンドが融合したお店で、築140年の古民家でひと息つける憩いの空間です。ドリンクやドーナツはテイクアウトOK♪町歩きのお供にもぴったりです!

・設計事務所×カフェ「TORO」

2024年3月15日、赤穂市坂越にオープンした「TORO(トロ)」。昔ながらの町並みが残る石畳の小路の一角にあった築140年の古民家が、一級建築士のご主人とランドスケープデザイナーの奥さんの手によって「設計事務所兼カフェ」に生まれ変わりました。

この建物は元々、さまざまな生活雑貨や道具を扱う荒物屋だったそう。荒れて崩れかかっていた道路側の外壁を改修し、真っ白な塗り壁と木が調和した和モダンな雰囲気に一新!建物中央の大きなガラス扉が、小路を歩く人たちを優しく招き入れます。

店名の由来は、川の流れが穏やかで生き物の居場所となる「瀞(とろ)」から。建築とランドスケープデザインを軸に、“まちの中に瀞をつくる”をコンセプトに、この場所をつくりました。

奥さんの「祖母が住む愛着のある赤穂で、古民家の相続放棄や歴史的町並みの保存といった地域問題を、“設計”を通して解決したい」との強い思いから、夫婦ともに横浜から赤穂への移住を決意したそう。景観やにぎわいの風景を守る「ランドスケープデザイナー」と、住まい手の使いやすさやデザインを考慮して図面を引く「一級建築士」が手を取り合い、「TORO」を拠点に坂越の町を守る活動を行っていきます。

「歴史やストーリーが、壁や床、柱など、一つひとつのパーツから感じられるのが古民家の魅力」と語るのは、一級建築士のご主人。そのストーリーを大切に、古き良き姿を残しながらカフェとして使いやすいようにリノベーションしました。「ふらっと入りやすいカフェがあることで、なんとなく立ち寄りにくい設計事務所にも気軽に足を運んでもらえたら」と話します。

カフェスペースは、店内にテーブル席とベンチ席、外の窓際にベンチ席があり、ご夫婦こだわりの家具が配されています。さらに店内をよく見渡すと、木材の色味や質感の違いに気付くはず。カフェや設計事務所だけでなく、ショールームとしての機能も持つため、あえて杉やホワイトオークなど、いろんな木材を使って素材の違いを体感してもらえるような仕掛けづくりもこだわったとのこと。

天井を見上げると、表面が剥がれて中の構造がむき出しになった傷んだ土壁が。「赤穂の土は昔から鉄分が多く、月日が経つと酸化して黒っぽい色になります。また、昔は親戚や近所の人が集まって、竹を編んで壁の構造を作っていたという今はなき風習もあったんですよ。この壁はそういった一面を教えてくれます」と、あえてこの壁を取り壊さず“残す”という選択肢を選んだそう。

とはいえ、荒物屋だったときは閉鎖的で暗かったため、2階の床の一部を落として吹き抜け空間を作るなどの思い切った部分も。昔は機械を使わず“人の手”で家が建てられていたので、その微妙な歪みや傾きを調整することに苦労したと、一筋縄ではいかなかったことも明かします。

中と外をつなぐ大きな一枚ガラスの前にはベンチ席がスタンバイ。時に、愛犬との散歩途中にふらっと立ち寄り、一息つく地元客の姿も見られます。坂越の町並みを目にしながらゆったりと過ごせる特等席があるのは、この小路ではずばりここだけです。

この窓は枠をあえて作らなかったため、中からも景観が抜群。店内なのにまるで外のベンチで腰をおろしているかのような錯覚を覚える窓際席は、店主夫婦そろって推す特等席です。


・旬の野菜を使った自家製ケークサレ

『アスパラガスと新玉ねぎのケークサレ』890円、『ぶどうジュース』800円

フードメニューの自家製のケークサレは、季節の具材を使用。取材日はアスパラや新タマネギを使った春の味覚を使ったケークサレがお目見えしました。リーフサラダやピクルスといった野菜の付け合わせがうれしいですね。

ケークサレは、注文を受けてから網の上で焼き直してもらえるので、提供時はほんのり温か。ほどよく焼色が付いた部分はカリッと香ばしく、おいしさが際立ちます。

小麦粉や卵から作った生地に、野菜やチーズをたっぷりと混ぜ込んでいるので、見た目よりも中がぎっしり詰まっていて食べ応え抜群!ケーキのようなビジュアルですが甘みはなく、ランチにぴったりです。トップにのったバターと一緒に口に運べば、クリーミーなテイストがプラスされ、生地の風味をより楽しめます♪

・ふわもち食感のイーストドーナツも絶品!

『塩ドーナツ』290円

兵庫県産小麦にこだわって作った自家製のイーストドーナツは、中はもちっと、外までふんわりやわらかいのが魅力。ラインアップは『塩ドーナツ』『シュガードーナツ』『チーズドーナツ』の3種類あり、どれもクラフトビールやワインなどのアルコールドリンクに合うように甘さ控えめに仕上げています。『塩ドーナツ』と『シュガードーナツ』はテイクアウトも可能です。

イチオシの『塩ドーナツ』は、揚げたてのドーナツの上に結晶タイプの塩をのせた塩味のドーナツ。生地自体が持つ優しい甘みと塩味が奏でる“甘じょっぱいハーモニー”に、夢中になること間違いなしです。

『シュガードーナツ』各300円

『シュガードーナツ』は、きめ細やかで口溶けの良い粉糖をドーナツの周りにたっぷりかけたもの。甘すぎず、香り豊かな『薬膳茶』にもよく合います。



・“西播磨のおいしい”を集めたドリンクも

『薬膳茶』650円

ドリンクメニューにあえてコーヒー系を置かないのが同店のポリシー。姫路や宍粟、上郡など、西播磨エリアから集めたおいしいものばかりを厳選し、提供しています。すべてテイクアウトが可能なので、町歩きのお供にも良さそう。

奥さんイチオシの『薬膳茶』は、宍粟市に工房を構える「サササ」のもの。野草や薬草を数種類ブレンドした体に優しい薬膳茶はクセが少なく、一度口にするとまた飲みたくなる優しい味わいが魅力です。ポットで提供され、無料で注ぎ湯をしてもらえるのがうれしいポイント!特に定番の『整え、補い茶』が人気。シナモンがふわりと香り、心身を解きほぐしてくれそう。

【宍粟】月に数回営業の薬膳茶専門店「サササ」野草や薬草をブレンドした薬膳茶で心と体を健やかに

『ぶどうジュース』800円

上郡の「MOTO農園」の『ぶどうジュース』は、ワイン用に栽培されたブドウを使ったストレートジュース。上郡町赤松地区で栽培したブドウをワインの製法で搾り、無濾過(ろか)かつ無添加で作り上げたワンランク上の一杯です。

その味わいは、一般的なブドウジュースとまったくの別物。澄んだ味わいの中にもぎたてのような酸味や豊かな香りがギュッと詰まっています。2024年4月現在、ボトルのラインアップは「マスカット」「ピオーネ」「ベーリーA」の3種類で、「ベーリーA」のみグラスやテイクアウトカップでも販売しています。

『ナチュラルワイン』※価格は種類による

坂越の「青木酒造」から仕入れる『ナチュラルワイン』は、「赤」「白」「オレンジ」の3種が常時スタンバイ。価格は品種によって変わり、ラインアップも随時追加されるので、ワイン好きは公式Instagramをこまめにチェックしてみて♪➡︎公式Instagramはこちら

『クラフトビール(Full)』880円~

姫路のクラフトビール専門店「Kogane Brewery」の『クラフトビール』も常時2タップ用意しています。樽がなくなるごとに品種が変わり、訪れるたびに違うビールと出合えるのが魅力です。取材日は『MELLOW PALE ALE』と『Hey!!HAZY』がスタンバイ。どちらもフルーティーなアロマを感じやすくキレのある味わいで、クラフトビールが初めてという人にもチャレンジしやすい一杯です。

「今後はKoganeさんとコラボして、赤穂素材を使ったご当地クラフトビールも作ってもらいたい」とのこと。その夢がかなう日が楽しみですね。

古さと新しさのバランス「新旧の共存」をコンセプトに作り上げた空間には、人の手仕事による温かみや遊び心があふれています。一枚の壁によってふさがれていた壁を剥がすことで古さをむき出しにし、新たな生命を吹き込んで生まれた「TORO」で、“地域の味覚”を味わいながら歴史に浸ってみては。

■詳細情報

■DATA

TORO(トロ)

所在地
兵庫県赤穂市坂越1540
営業時間
11:00~18:00

本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年4月24日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をお気に入りに保存する
TOP