北条鉄道網引駅の目の前にある「手打ち駅前そば あびき」は、店主が季節に合わせて厳選したそば粉を“挽(ひ)き立て・打ち立て・湯がき立て”で味わえるお店。窓の外にはローカル線ののどかな景色が広がり、その風情を求めて遠方から訪れる人も。そばの香りが際立つ『ざるそば』や、出汁のうま味がたまらない『鴨南蛮そば』は必食です。
・「手打ち駅前そば あびき」
兵庫県小野市と加西市をつなぐローカル線、北条鉄道。その網引駅のすぐ目の前にある「手打ち駅前そば あびき」では、熟練の職人が打つ香り高いそばが楽しめます。2023年10月のオープン以来、ぽつんと佇む一軒にも関わらず、その味を求めて遠方から訪れる人も多いそう。
店主はそば打ち歴30年以上の達人。多数の弟子を育ててきたそば打ちの腕前に加え、福井県に製粉所を自ら立ち上げるなど、そば粉のプロフェッショナルでもあります。扱うそば粉は、店主自ら足を運び厳選した約10種類。季節に合わせて最良のものを選んでいて、取材日は、北海道産の新そばを味わうことができました。
さらに同店では、選び抜いいたそば粉を、“挽(ひ)き立て・打ち立て・湯がき立て”の“3立て”で提供。そばの香りと食感を最も良い状態で味わえるよう、とことん丁寧に仕立てています。
北条鉄道活性化事業の一環として生まれた同店。大きく切り取られた窓からは、線路がすぐそこに見え、運が良ければ北条鉄道の通過にも立ち会えます。遠景には網引町の山々、周囲には桜や銀杏の木など、季節ごとに移ろう自然を眺めながらそばを楽しめるのも魅力。
窓に向かって並ぶカウンター席に加え、テーブル席もあります。一人はもちろん、家族連れでもグループでも、気軽に立ち寄ってみて。
・香り豊かな打ち立てそば
『ざるそば』1,000円
そば本来の味を楽しむなら、まずは『ざるそば』を。ほんのり黄緑がかったそばは透き通っていて、見た目からもその新鮮さが伝わってきます。ゆで加減にこだわった麺は、コシがあり、噛むほどに広がる香りが印象的。
そばつゆは、佐用町・宿場町平福の3年熟成醤油に、本みりんと砂糖を加えた“かえし”を、3カ月もの間じっくり寝かせて仕込んだもの。カツオと昆布の出汁と合わせ、そばの風味を引き立てるまろやかな味わいに仕上げています。
『とろろそば』1,200円
『とろろそば』は、大和芋と長芋を合わせたとろろがたっぷりとかかった一杯。添えられたつゆをかけて召し上がれ♪濃厚な粘りとそばの香りがほどよく絡みます。
・温かいそばはつゆが格別！
『鴨南蛮そば』1,980円
温かい『鴨南蛮そば』は、通年販売しているメニューですが、特に寒さが増すこれからの季節にぴったりの一品。上質な紀州の鴨ロース肉は、丁寧に火を入れることで身が締まり、噛むほどにじわじわとうま味が染み出します。
そしてなんといってもつゆが絶品。アクセントに「枯宗田節」の厚削りを加えた出汁に、焼きネギの香ばしさと鴨のうま味が溶け込み、思わず飲み干さずにはいられない奥深い味わいです。
・そば屋ならではの一品メニューも
『そば屋の玉子焼き』880円
そばのほかに、一品メニューもスタンバイ。『そば屋の玉子焼き』は、網引町産の卵を使った、ふんわりジューシーな一品。しっかりと利いた甘辛い出汁の風味が後を引きます。
『そばがきぜんざい』880円
食後には、そばを使った甘味はいかが？『そばがきぜんざい』は、そば粉を水で溶き火にかけて練って作るそばがきに、甘く煮た小豆を合わせた、食事の〆におすすめの一品。
同店では、そばがき用のそば粉を特別に挽いているそう。新鮮な粉を、たっぷりと空気を含ませながら練り上げることで、そば粉100%とは思えないもっちりとした食感に。小豆の優しい甘さの後に、香ばしいそばの風味がふわっと広がります。
同店で提供されるそばは基本的に「二八そば」ですが、土曜と日曜には『十割ざるそば』(1,200円)も登場します。さらにタイミングが合えば、高地で栽培され、ポリフェノールが豊富といわれる『ダッタンそば』(1,320円)に出合えることも。そばはなくなり次第終了なので、早めの来店がベターです。
豊かな景色と列車の響きを感じながら、職人の技が詰まった味わいをを楽しんでみてはいかが。
■詳細情報
■DATA
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2025年11月20日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
