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オトナ女子に日本酒が人気!日本酒の楽しみ方は?姫路の灘菊酒造のスタッフに聞きました

「おじさんたちが飲むお酒でしょ?」…そんなマイナスイメージが強かった“日本酒”。でも近年、若い世代や女性を中心に新しい波が到来し、日本酒イベントや女子会があちらこちらで人気です。飲まず嫌いのあなたも達人のあなたも注目を! 日本酒を楽しむコツを灘菊酒造の看板を守る女性杜氏(とうじ)・川石光佐(みさ)さんに聞きました。

1.こんなにある! 日本酒の魅力

私たちが住む播州平野は酒米の王様といわれる「山田錦」の一大産地。

豊かな伏流水にも恵まれた播磨地域には多数の蔵元があり、日本有数の酒どころとして知られています。うまい日本酒がここ播磨にあるのですから、“飲まず嫌い”でいるのはもったいないですよ!

播磨地域を代表する酒米「山田錦」と「夢にしき」。

食用米に比べて稲の背丈や穂が長く、粒も大きいのが特徴。酒づくりには米の外側を磨き(削り)、真ん中の“心白”だけを使います。

今や日本酒はワールドワイド。海外の一流レストランのワインリストに上る銘柄があったり、ワイングラスで日本酒を味わう外国人が見かけられたりして、「SAKE」が世界の標準語に。

和食だけでなくフレンチやイタリアン、中華…とどんな料理にも寄り添え、組み合わせが無限に広がります。

幅広い温度帯で飲めるのも日本酒の魅力。冷やすときりっと爽やかな味わい、常温で飲むと優しい口当たりに。温めても熱かんでもOK、ロックにしたり凍らせたりしてもおいしくいただけます。

おいしいだけでなく、とりわけ女子にはうれしい魅力も!

日本酒造りに関わる杜氏さんや蔵人さんの手肌は色白でキメが細かいという話を耳にしたことはありませんか?

写真は川石さんの手。「水仕事が多いので荒れていますよ」そう言いながら見せてくれた手は色白で美しく、しっとりしていました。

日本酒の発酵パワーを応用した化粧品がブームになっていることにもうなずけますね。

日本酒風呂がお肌にいいといわれていますが、日本酒は高価なので酒かすの方がおすすめとか。適量の酒かすをストッキングや綿の袋に入れ、お湯の中でもむだけ。酒かすには体を芯から温める働きもあるそうです。使用後は浴槽をしっかり掃除することを忘れないで。


2.日本酒選びはココをチェック!

日本酒には分からない言葉や専門用語が多くてハードルが高い、選び方が分からない…。
そんな人はラベルに注目! ラベルに書かれていることが日本酒選びの参考になりそうです。

<その一> 精米歩合をチェック

酒米を“磨く”という言葉を聞いたことはありますか?
精米歩合とはどれくらい磨いた(削った)酒米を使用しているかを示した割合。

例えば、「精米歩合50%」ならば、100㎏の玄米を精米して50㎏の白米に削ったことを示します。精米歩合の低い“磨いた米”ほど華やかでフルーティーな香りが広がる、洗練されたお酒になります。

<その二> 特定名称酒を表す6つのワードをチェック

日本酒は“米”という単一の原材料から造られるのにもかかわらず、実に種類が豊富。そのうち、一定の要件を満たしたものを特定名称酒と呼びます。

名称は主に6種類。まずは米と米麹だけを使用した「純米酒」と、それに醸造アルコールを加えた「本醸造酒」に分類。さらにそれを精米歩合で以下のように分類します。

精米歩合
純米タイプ純米大吟醸50%以下
純米吟醸60%以下
純米
本醸造タイプ大吟醸50%以下
吟醸60%以下
本醸造70%以下

<その三> 価格帯をチェック

米を磨けば磨くほど、使える部分(心白)は少なくなります。使用する酒米、精米歩合、かける手間暇、造り手の思い…その全てが反映される価格には根拠があります。

川石さんによれば

「価格帯は幅広いですが、特定名称酒で1,000~2,000円(720ml)ならば十分、おいしくいただけると思います」。

ラベルはお酒の味を想像するヒントになりますが、同じ表示でも酒米の種類や水、造り手の技術などさまざまな要因で仕上がりが異なってきます。

したがって、まずは飲んでみて、このお酒は「好き」「おいしいわ」でOK。
難しく考えないで気軽に日本酒を楽しむことが何よりとか。次第に舌が育ってきて、お気に入りの1本が見つかるといいます。

お酒の専門店で好みを伝えてアドバイスしてもらうことも一案です。

3.いざ! 酒蔵見学&試飲へ

約2,700坪という広大な敷地に創業(明治43年)当時からの木造酒蔵が現存する「灘菊酒造」。

現在、酒造りが行われている「甲蔵(きのえぐら)」の見学はできませんが、創業当時の古い木造の蔵や道具に触れながら、趣ある酒蔵の風情を味わえます。

釜場から酒蔵へと続く、ノスタルジックな通り。
日本酒になじみがなくても、さまざまな視点から日本酒の魅力を楽しめるのが酒蔵見学のおもしろさです。

こちらは仕込みに使われていた木製の大きな樽(たる)。明治、大正の時代を経て昭和30年代まで使われていた長い歴史が刻まれています。

灘菊酒造では現代の酒造りをパネルで紹介しています。



4.お気に入りの一本を見つけよう

直売所には杜氏さん、蔵人さんらのこだわりと情熱がつまった日本酒がずらり。何種類かの試飲も可能です。スタッフさんへ一声かけてみて。

盃(さかずき)を手に取ったらまず、香りを楽しみましょう。
果物の香り? 米の香り? どんな香りが感じられますか?

次に色味を観察しましょう。
一般的に淡い色味ならばさっぱり、濃い色味や濁りがある場合は芳醇(ほうじゅん)で濃厚な味わい。

口に含んだら、鼻に抜ける「ふくみ香」とのどごしを感じて。味比べをして、お気に入りを見つけましょう。

甘酒の試飲もできます。キレのよい自然な甘さが特徴です。

日本酒造りを左右する“水”。

試飲にも水が大切です。多種多彩な日本酒を味わえるのが試飲の醍醐味(だいごみ)ですが、あれもこれもと飲み過ぎては悪酔いしてしまいます。

そこで、忘れずに持参してほしいのが「和らぎ水」(ペットボトルの水でOK)。お酒の合間に水を飲むことで酔いのスピードが緩やかに。脱水症状や二日酔い防止にも効果的です。

そのほか、香水や香りの強い整髪用などをつけて行かないことも酒蔵見学のマナーです。

5.日本酒の達人へ、この一本を

それは『純米灘菊』1,350円(720ml)。「全国燗酒コンテスト2016」で最高金賞を受賞した一本です。温度帯によりお酒の“顔”が変わることがおすすめのポイントとか。

冷やで爽やかに、ぬるかんでやわらかに、熱かんで輪郭(りんかく)のしっかりした味わいにと、この一本で飲み口の変化を楽しめます。


6.日本酒デビューにおすすめはこれ!

日本酒ビギナーには光佐さんの名前にちなんだ“MISA33シリーズ”の『純米吟醸MISA33』1,350円(500ml)を。しぼりたてをそのまま瓶詰めした無ろ過生酒で、華やかな果実の香りがあり、後口がシャープなお酒です。

入門編として同シリーズの発泡系『特別純米MISA33』1,250円(500ml)もぜひ。

いずれも冷やで召し上がれ!

7.作ってみない? おうちカクテル

好みの日本酒をソフトドリンクで割って、フルーツを浮かべるだけでこんなにおしゃれなカクテルに!

左から…
・日本酒とカルピスピーチソーダを1:2で割り、好みのベリーをたっぷり浮かべて

・日本酒、キレートレモン、ジンジャエールを1:1:1で割り、オレンジやレモンを飾って

・日本酒×カルピスソーダを1:2で割り、カットしたいちごを浮かべて

ふわっと日本酒の香りが立ち、シュワシュワ感と優しい甘味が広がる、ほろ酔いカクテルです。

日本酒にいちじく、クランベリー、あんずなど好みのドライフルーツを一晩漬け、グラスに注いで。バニラアイスにかけてもおいしいですよ。

レシピ提供/田上幸美さん(姫路市)

■詳細情報

【灘菊酒造】

所在地
兵庫県姫路市手柄1-121
営業時間
見学・直売所: 10:00~18:00
※個人の場合は見学の予約不要
定休日
なし(12/31~1/3は除く)
駐車場
あり
アクセス
山陽電車手柄駅から徒歩約5分
お問い合わせ先
079-285-3111
URL
http://www.nadagiku.co.jp/

◎見学・試飲できる酒蔵を13カ所ピックアップ!

播磨地域で見学や試飲ができる蔵元を紹介します。

酒蔵名所在地・連絡先酒蔵見学試飲
奥藤商事赤穂市坂越1419-1
※酒造郷土館の見学のみ可(無料)
0791-48-8005
老松酒造宍粟市山崎町山崎12
※要予約、土・日曜の見学は応相談。10~1月は蔵外からの見学
0790-62-2345
山陽盃酒造宍粟市山崎町山崎28
0790-62-1010
本田商店姫路市網干区高田361-1◯(2~3月上旬)
※要予約
079-273-0151
下村酒造姫路市安富町安志957
0790-66-2004
壷坂酒造姫路市夢前町前の庄1418-1◯(10:00~12:00)
※要予約
079-336-0010
灘菊酒造姫路市手柄1丁目121
※要予約
079-285-3111
岡田本家加古川市野口町良野1021
※要予約
079-426-7288
稲見酒造三木市芝町2-29
0794-82-0065
神結酒造加東市下滝野474
(1月中旬~3月上旬)
※要予約
要相談
※夏場は✕
0795-48-3011
富久錦加西市三口町1048
※前日までに要予約
0790-48-2111
茨木酒造明石市魚住町西岡1377
(11~3月上旬)
※要予約
078-946-0061
西海酒造明石市魚住町金ヶ崎1350
(4~11月)
※要予約、少人数(10人まで)のみOK
078-936-0467

本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2018年3月22日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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