Q.シニア猫に多い腎臓病との向き合い方や、フードの種類・量を見直すタイミングは?

Q.シニア猫に多い腎臓病との向き合い方や、フードの種類・量を見直すタイミングは?
人間と同じく、年を重ねた動物たちにとって、日々の体調管理や食生活の見直しは大切です。今回は、シニア猫が気をつけておきたい腎臓病や、食事を見直すタイミングについて紹介します。

シニア猫に多い腎臓病との向き合い方は?

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Q.猫は年をとると腎臓が悪くなるって本当ですか?
ライター

今回教えてくれるのは、エルザ動物病院グループの福井健太獣医師です。福井先生、よろしくお願いします。

ライター

猫は吐き癖もあるので、腎臓の健康維持に悩む飼い主は多い印象です。

福井 獣医師

猫が腎臓に障害を受ける原因は、腎結石、腎嚢胞、腎盂腎炎、高血圧などさまざまなものがありますが、目立った病気がなくても年齢とともに腎機能は徐々に低下していきます。

一般的に、傷んだ腎臓を元通りに治すことは難しく、一度ダメージを受けた部分が回復することはありません。

腎臓の働きのおよそ75%が失われると、体外に排出されるべき老廃物が体内に蓄積し、いわゆる腎不全となります。

ライター

人間と同じく、年齢を重ねるごとに病気のリスクが高まるのですね。
早期発見につなげるために、飼い主が日常生活でできることはありますか?

福井 獣医師

猫にとって腎臓病は避けがたい病気であり、シニア期の7歳頃からは、高い確率で腎臓の機能低下が見られます。 「まだ若いから」と思っているうちに、腎臓病を見逃してしまうことも少なくありません。

そのため、定期的な血液検査やエコー検査などの健康診断を受け、腎臓の変化を早期に見つけることがとても重要です。

ライター

定期的な受診をすることが飼い主にとっても安心ですね。
万が一、腎臓病と診断された場合はどのような治療になるのでしょうか?

福井 獣医師

腎臓病の治療は、病気のステージによって異なります。
投薬や腎臓療法食、サプリメントなどで進行を抑えることを目指します。場合によっては点滴が必要になることも。

また、腎臓療法食では、タンパク質・塩分・カリウムを制限する腎臓療法食を継続することで、進行を遅らせる効果が研究で示されており、サプリメントも補助的に利用される場合があります。 代表的なものとして、リン吸着剤オメガ3脂肪酸などが挙げられます。普段から定期的な健康管理を心がけましょう。

新薬の開発には膨大な時間と費用が必要ですが、現在、猫の腎臓病に対する新しい治療薬の研究・開発も進められており、今後の臨床応用が期待されています。

ライター

ペットにとっても、なるべく負担の少ない方法で治療していきたいですね。

福井 獣医師

当院では、ペットの病気のリスクに備えた健康診断や、怖がりの猫ちゃんに配慮した猫専用の診療時間「キャットアワー」を設けています。 ぜひ公式HPを見て、受診の参考にしてください。

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猫のフードの内容は年齢別に見直すべき?

猫のフードの内容は年齢別に見直すべき?
Q. 猫の食事について、年齢別で見直す必要はありますか?成猫用と記載されているフード商品は、シニア猫にもあげていいのでしょうか?
ライター

今回教えてくれるのは、エルザグループ・加西レオ動物病院のマネージャーを務め、ペットの年齢や病気などに合わせた食餌や給餌方法などをサポートする栄養科所属・ 愛玩動物看護師の長谷川真彩さんです。長谷川さん、よろしくお願いします。

ライター

質問者は猫の食生活やフードの内容に悩んでいるようです。

長谷川 愛玩動物
看護師

犬も猫も、大きく分けて成長期、成犬・成猫期、シニア期のライフステージによってフードの見直しをする必要があります。 また、病気になった際は療法食の選択をする場合もあります。

ライター

ライフステージごとの食事で心がけるべきことを教えてください。

長谷川 愛玩動物
看護師

成長期は、体を作るための栄養やカロリーが必要ですが、まだ消化能力が高くありません。十分な栄養やカロリーを摂りつつ、消化吸収の良い食事が必要ですので、子猫用のフードなどを選んであげてください。

成犬・成猫期になると成長が落ち着くため、生活環境によって食事の調節が必要です。
活発な生活をしている子と、完全室内で生活している子では必要なカロリーが違ってくるので、適切な量をかかりつけ医に確認しましょう。

避妊・去勢手術を終えた子は、ホルモンバランスの変化で太りやすくなるため、カロリー制限を行うことをおすすめします。

ライター

シニアの子におすすめの食事方法はありますか?

長谷川 愛玩動物
看護師

体調の変化が起こりやすくなるシニア期は、食が細くなり、消化機能が落ちてくる可能性があります。
少量でもカロリーをしっかりとれる食事を心がけ、口内炎などで食べにくい時はウェットタイプを選びましょう。
活動量が減ると肥満になることもあるので、注意が必要です。

ライター

ライフスタイルや年齢などをしっかり考え、食生活を見直していく必要がありますね。

長谷川 愛玩動物
看護師

最近は販売されているフードも多様化しているため、選択に悩む飼い主も多いかと思います。まずは年齢に合わせた食事内容や量を選びましょう。

フードの中にも総合栄養食、一般食、間食、栄養補助食など、たくさん種類があります。 主食とするのは、総合栄養食と記載のあるフードがおすすめです。

“総合栄養食”と表示されているフードでも、ミネラルバランスなどの点で結石リスクが高くなる場合があります。 体質に合ったフードや、成分バランスが管理されているものを選ぶと良いでしょう。迷った時は、かかりつけの動物病院に相談してみてください。

当院では、ペットの年齢や病気の症状など、個々に合った食餌や給餌方法をサポートする栄養科があります。
ぜひ公式HPを見て、受診の参考にしてください。

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エルザ動物病院グループ
エルザ動物病院グループ

「エルザ動物病院グループ」は、動物たちの健康と飼い主との豊かな暮らしを守るため、「動物の幸せを第一に考える」診療を提供している。
一般診療や予防医療、健康診断をはじめ、ペットフードの相談やしつけセミナーの開催、さらには専門科診療やMRI・CTなどの高度医療機器を活用した検査、夜間救急診療まで幅広く対応。
姫路・加古川・神戸・たつのを中心に病院を展開し、グループネットワークを活かした地域密着型の動物医療サービスを提供している。 公式ホームページはこちら 病院一覧はこちら