Q.ペットの誤食や拾い食い、吠える行動の対処法は?

Q.ペットの誤食や拾い食い、吠える行動の対処法は?
ペットと暮らす中で、誤食や拾い食い、無駄吠えなどに悩んだことはありませんか?実はそのような問題行動には、それぞれ理由があります。ペットの健康と安全を守るためにも、動物の習性や対応方法について、正しく理解しておきましょう。

ペットの誤食と受診のタイミング

ペットの誤食と受診のタイミング
Q.犬と猫、どちらも飼っています。タマネギを食べさせるのはNGとよく聞きますが、他にあげてはいけないものはありますか?食べてしまった場合の対処法についても教えてください。
ライター

今回教えてくれるのは、姫路エルザ動物病院の院長・東中翠獣医師です。東中先生、よろしくお願いします。

ライター

ペットの誤食は、体に影響がないかとても心配です。まずは注意するべき食べ物について教えてください。

東中 獣医師

生活環境が多様化しているため、動物が食べてはいけないものは身近に数多くあります。
誤食は中毒を引き起こすことがあるので、ペットが何か口にした際は注意深く見てあげましょう。

家庭内でよくある誤食例は、靴下やボール、ジョイントマット、ビニール、つまようじ、竹串、ひもなどの小物類が多いです。 他にも、タマネギ、ネギ、チョコレート、ブドウ、キシリトール入りのガムといった食べ物や、人間の薬、タバコ、観葉植物なども、中毒になる可能性があるので気をつけましょう。

ライター

「まさかこれは食べないだろう」と思ったものでも、動物には食べ物に見えることがあるのですね。中毒性のある異物を誤食してしまった場合、どのような症状が出ますか?

東中 獣医師

中毒性のあるものは、その種類により、嘔吐や下痢などの消化器官に関わる症状や、貧血、肝臓・腎臓障害などを起こす可能性があります。
消化できない異物は、胃から腸に流れて腸閉塞を起こすので要注意です。

ライター

万が一、誤食してしまった時はどうすればいいでしょうか?

東中 獣医師

誤食に気づいた時点で、すぐに動物病院を受診しましょう。

誤食した直後は、胃内に異物がある状態のため、強制的に吐かせる催吐の処置をします。 中毒性のある異物を誤食していた際は、症状が安定するまで入院することがあるので、早めにお越しください。

腸閉塞を起こす可能性のある異物で、催吐できない場合は、内視鏡で摘出を行います。 内視鏡で摘出できない、腸まで流れてしまっていた際は、開腹手術によって胃や腸を切開して取り出すこともあります。

ライター

受診の際に伝えた方がいいことはありますか?

東中 獣医師

誤食した物と時間、その子の体重などを一緒に伝えて相談してください。
食べたものと同じものがご自宅にある場合は、診療の参考になりますので動物病院へ持って行くといいでしょう。

犬の拾い食いや吠える行動の原因は?

犬の拾い食いや吠える行動の原因は?
Q.6歳の犬を飼っています。落ちているゴミや犬のフンなどの拾い食いをやめさせる方法はありますか?また、来客や通行人に吠え続けてしまい困っています。どうやって落ち着かせたらいいでしょうか?
ライター

今回教えてくれるのは、エルザ動物病院グループに所属し、ペットの問題行動の相談を受け付ける行動科の愛玩動物看護師で、子犬のしつけなどを行うパピーライフ指導・認定動物看護師の井口由加さんです。

井口さん、よろしくお願いします。

ライター

ペットの習性として拾い食いはよく聞きますが、何か原因があるのでしょうか?

井口 愛玩動物
看護師

もともと犬は気になるものがあれば臭いを嗅ぎ、口に入れて、食べられるものかどうかを確認する習性があります。

例えば、子犬のころに異物を口の中に入れた姿を飼い主が見た時、「飲み込んでしまっては困る」と思い、無理やり取り上げるような行為が続くと、 犬も「口に入れた物を取られまい」と飲み込んでしまうことがあります。

その結果、「食べてしまえば取り上げられない」と学習(負の強化)してしまうことが多いです。

ライター

質問者は食フンについても悩んでいます。家庭で試せる対処方法はありますか?

井口 愛玩動物
看護師

食フンを防ぐ方法として、愛犬が排便中、声をかけずに、いくつかフードやおやつを目の前に置いてみましょう。 それを愛犬が食べている最中、静かに排泄の処理をしてください。 飼い主のリアクションが大きいと「取られまい」と思い、余計に急いで食フンする子が多いです。

ライター

散歩中の拾い食いについてはどうでしょうか?

井口 愛玩動物
看護師

散歩中の拾い食いはリードコントロールで対応できると思いますが、拾い食いしないようにリードを引っ張り過ぎると、 ワンちゃんは嫌な気持ちになりますよね。

その場合は、散歩中に定期的にペットの名前を呼び、目が合ったらご褒美をあげてください。 名前を呼ばれて飼い主に注目すると「良いことがある」と学習させるといいでしょう。
このトレーニングを散歩中に歩きながら行うことにより、「何か落ちている」と飼い主が気づいたら、名前を呼ぶことで別の場所に誘導しやすくなるのもポイントです。

ライター

ワンちゃん本来の習性とどのように向き合っていくのかが大切ですね!家族以外を見て吠えてしまう癖も同じでしょうか?

井口 愛玩動物
看護師

よく飼い主側から「犬の無駄吠え」と言われますが、ワンちゃんにとって吠えること自体は正常な行動です。
吠える理由としては、恐怖、警戒、縄張り主張、興奮、欲求、痛みなど、さまざまな原因が挙げられます。 状況やボディランゲージなども含めて、なぜ吠えているのかを考えてみましょう。

ライター

ただ注意するのではなく、原因を一緒に考えてあげるのがポイントですね。

井口 愛玩動物
看護師

例えば、飼い主の食事中に吠えたら食べ物を分けてもらえた時。これはワンちゃんにとって欲求が通ったと学習(正の強化)されます。
逆に、訪問客に吠え続けたらその人が帰ったという状況。これは、縄張りを守れたと学習(負の強化)します。

このほか、インターホンがなって飼い主が興奮したから一緒に興奮して吠えた時。ペットのことを注意しようと見つめても、 ワンちゃんにとっては「注目してもらえた」と受け取ってしまいます(正の強化)。散歩中に前から自転車が向かってきた時、 ワンちゃんからは怖いと思うこともありますよね。この時は怖くて吠え続けて逃げていったと学んでしまうことがあります(負の強化)。

ライター

吠え続けることで、自分の要望が通ると思ってしまうのですね・・・。ワンちゃんとの正しい向き合い方はありますか?

井口 愛玩動物
看護師

大事なのは、“吠え続けさせない”ことです。インターホンなどの物理的な音がある場合は、ワンちゃんが「インターホン=吠える」の認識にならないように、インターホンの音を変えたり、飼い主ができるだけ冷静に行動したりすることを心がけてください。

また、インターホンを鳴らして、「ハウス」の指示を出し、ワンちゃんがそこで待つことができたら、ご褒美をあげるのもおすすめです。状況や犬の行動、性格に合わせて修正方法を考えていきましょう。

当院ではペットの問題行動の予防や相談を受け付ける行動科や、子犬のしつけをトレーニングするパピーライフ指導もあります。

ぜひ公式HPを見て、受診の参考にしてください。

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エルザ動物病院グループ
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「エルザ動物病院グループ」は、動物たちの健康と飼い主との豊かな暮らしを守るため、「動物の幸せを第一に考える」診療を提供している。
一般診療や予防医療、健康診断をはじめ、ペットフードの相談やしつけセミナーの開催、さらには専門科診療やMRI・CTなどの高度医療機器を活用した検査、夜間救急診療まで幅広く対応。
姫路・加古川・神戸・たつのを中心に病院を展開し、グループネットワークを活かした地域密着型の動物医療サービスを提供している。 公式ホームページはこちら 病院一覧はこちら